カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、エリクセンのアクシデントをチームが一致団結して乗り越え、EUROはベスト4進出、W杯予選は勢いそのままに9勝1敗で首位通過、そこにエリクセンが復帰し、ネイションズリーグではフランスを破るなど好調をキープする、ヨーロッパ代表のグループD・「デンマーク代表」。
基本情報
出場回数 | 6回目(2大会連続) |
最高成績 | ベスト8 |
FIFA ランキング | 10位 |
首都 | コペンハーゲン |
人口 | 581万人 |
監督 | カスパー・ヒュルマンド |
愛称 | ダニッシュ・ダイナマイト |
<直近6試合の成績>
6/4 | UNL | フランス | 〇 | 1-2 | A |
6/7 | UNL | オーストリア | 〇 | 1-2 | A |
6/11 | UNL | クロアチア | ● | 0-1 | H |
6/14 | UNL | オーストリア | 〇 | 2-0 | H |
9/23 | UNL | クロアチア | ● | 2-1 | A |
9/26 | UNL | フランス | 〇 | 2-0 | H |
・EUROでのベスト4進出の勢いそのままに、W杯予選はカタール行きを決めた時点で8戦8勝0失点とパーフェクトな結果を残し、最終的には9勝1敗で首位通過。この結果には、ヒュルマンド監督ですら驚きを見せるほどだった。
・強さの中核にあるのは、EUROでのアクシデントをチーム全員で乗り越えた精神力と組織力の高さ。3月の親善試合にはエリクセンも無事に復帰。ケガで離脱するケアーに代わって主将を務め、2試合で2ゴールを決めて復活をアピールした。
・直近のネーションズリーグでは、W杯でも同組のフランス相手に連勝し、EUROで4強入りした実力を見せつけた。エリクセン、シュマイケルといった実力者たちに加えて、Uー21代表からの抜擢や控えに甘んじていた選手たちが躍動。過去最高のベスト8以上の成績を十分に狙えるクオリティーを誇る。
監督
名前 | カスパー・ヒュルマンド |
生年月日 | 1972.4.9(50) |
国籍 | デンマーク |
就任 | 2020.7月 |
・”サッカーオタク”
・魅力的なサッカースタイルの支持者であり、デンマーク代表を攻撃的なチームに変貌させ、EUROではベスト4に導く。
・当初デンマーク国民からは、単なる”サッカーオタク”と見られていたが、EUROで評価を変える。
・破産により4部にまで降格したクラブを、5年で1部に戻すなど育成に定評あり。
・リバプールのユルゲン・クロップ監督がヒュルマンドのファンで、「カスパーは、とても人懐っこく、楽しい男で、私に素晴らしい印象を与えてくれた。サッカーの戦術について話し合ったことは、ただ楽しいだけでなく、センセーショナルなものだった。」と回顧。
基本フォーメーション・戦術
EUROで培ったチームスピリットと組織力 可変システムで相手に適応
<基本フォーメーション>

・エースのエリクセンが完全復活を遂げたことで、センターラインには、シュマイケル、A・クリステンセン、ホイビュアと列強の主力にも見劣りしない実力者が並ぶ。
・エリクセンの離脱もあり、ロシアW杯からベースとしてきた【4-2-3-1】から、司令塔が抜けた中央のエリアに選手を多く配置し、WBを置くことでサイドでの攻防を有利にできる【3-4-2-1】を採用。
・数的優位を作りたい局面では、試合中でも臨機応変にシステムを【4-2-3-1】に変え、選手たちも素早くその変更に適応する。
・不安材料は、”点取り屋”の不在だが、EUROで活躍したダムスゴ―やビントなど異なるアタッカーが複数おり、状況に応じて使い分ける監督の起用法に期待したい。
<攻撃時>

・サイドを起点に、最終ラインから丁寧にショートパスを繋いでビルドアップを展開。ポゼッションを高めながら、エリクセンに頼ることなく攻撃陣で一体となってチャンスを創り、ゴールを狙う。
・WBを置くことで、メーレやバスが追い風を受けるようにサイドを駆け上がり、チャンスに絡む場面が多くなった。そのデメリットとして、攻守の切り替えのたびに最終ラインと前線のスプリントを繰り返すことで、体力の消耗が激しくなったが、若手が頭角を現し、ベンチメンバーの層が厚みが増しているため、大した問題ではない。
・【3-4-2-1】を採用したことで、エリクセンと2シャドーでコンビを組む足技に長けたテクニシャンのオルセンが躍動。結果として、相手のマークと味方の依存が分散し、エリクセンの負担が軽減されたことは大きな利点。
<守備時>

・全体でプレスを仕掛けることなく、基本はリトリート。WBが最終ラインまで下がり、5バックを形成。FWを含めて自陣のエリア内で【5-4-1】の守備ブロックを組む。
・無理にボール奪取を狙わずに、予測によるパスカットを続ける。
注目選手(8人)
クリスティアン・エリクセン (MF/マンチェスター・U)
・”復活を遂げた司令塔”
・ミットフィルダーに求められる能力を高水準で備える万能司令塔。スキルはさることながら、戦術理解度に関して世界トップクラスだ。
・ポジショニング、パス、攻撃のタイミングにおいて常に最適な選択を行い、決定的なチャンスを演出する。ボールを持っていなくとも、味方のためにスペースを創り出すことに奔走し、オフ・ザ・ボールの動きも秀逸。相手の守備を崩す引き出しを多く有し、常に自分がどのようにプレーすれば良いかを理解している。
・類まれなるパスセンスを持ち、ロングパスやFKは世界屈指の精度を誇る。両足から放たれる強烈なミドルシュート、スルーパスでも局面の打開が可能。
・EURO2020での心肺停止のアクシデントから、1年でメガクラブに復帰するまでに回復を遂げる。
カスパー・シュマイケル (GK/ニール)
・”ミラクルを知る守護神”
・ゴール前で圧倒的な存在感を発揮し、EUROではベスト4進出の立役者となったチームの最年長。大柄なフィジカルと闘争心で、ゴールマウスを委縮させるほどの威圧感を誇る。年を重ねるにつれて円熟味を増してゆき、レジェンドである父と肩を並べる存在に成りつつある。
・状況判断、シュートへの反応、セービングスキルはどれをとっても超一流。キック力も抜群で、ビルドアップでも貢献できる。
ピエール・エミール・ホイビュア (MF/トッテナム)
・“潰し屋”
・ハードワークとクオリティーを両立させる中盤の要。トップクラスの戦術理解度を誇り、高い危機察知能力で敵のチャンスの芽を摘む。闘志みなぎるプレースタイルも魅力。
・無尽蔵のスタミナでピッチの至るエリアに顔を出し、対人戦からスペースのカバーまで高いレベルでこなす。足下の技術とパス精度も高く、パスでリズムを作り、縦パスで攻撃のスイッチを入れる。
シモン・ケアー (DF/ミラン)
・”最終ラインを統率する主将”
・若いDFのお手本。そして精神的支柱として、クラブとA代表をまとめ上げるCB。経験に裏打ちされた読みとポジショニングで地上戦に競り勝ち、恵まれたフィジカルを活かして空中戦にも強い。
・昨シーズン途中に離脱するまでは、ミランのあらやる守備スタッツでトップレベルの数値を記録していた。注目に値するのはファールの少なさ。冷静な対応で敵のチャンスの芽を摘む。
・8月に膝の靭帯断裂から約8か月ぶりに復帰。
アンドレアス・クリステンセン (DF/バルセロナ)
・”デンマークのマルディーニ”
・バルセロナで生き残る上で不可欠な足下技術を備えたCB。状況に応じてはアンカーとしても起用できる。
・長身で空中戦に強く、広い視野と戦術眼がある。大舞台での経験も豊富で、常に冷静な判断力で正しい場所へとボールを送り届けられる。
ヨアキム・メーレ (DF/アタランタ)
・”アウトサイドのフィジカル・モンスター”
・豊富な運動量を武器に左サイドを掌握するSB。精度の高いクロスを放てば、時にFW顔負けのミドルシュートも狙い、W杯予選では5ゴールを記録するなど高い攻撃力が特徴。
・EURO2020では無尽蔵のスタミナを武器に、左サイドで大暴れ。瞬く間にA代表のレギュラーに定着。
クリスティアン・ノアゴー (MF/ブレントフォード)
・“中盤の防波堤”
・高いボール奪取能力を誇り、プレミアリーグでも屈指のタックル能力を持つ。昨シーズンはプレミア初挑戦にしてリーグ1位のタックル成功数(109回)を記録。
・プレス、インターセプト、タックル、縦パスで攻撃の起点になるなど攻守両面での活躍が光る。昨季にクラブでともにプレーしたエリクセンとの連携も抜群。
マルティン・ブライスワイト (FW/エスパニュール)
・”勝負強さが光るFW”
・速さと強靭なフィジカルを活かし、オープンスペースを狙った縦への推進力と守備での高い献身性が持ち味。勢いを止めず、常に攻撃の起点となるプレーを続け、EUROではベスト4進出の立役者に。ゴール前でも怖がらずにクロスに合わせ、攻撃を活性化する。
・バルセロナでは構想外の烙印を押されたが、出場すればゴールやアクシデントなんでも起こしてくれるので、先発、途中出場を問わずに重宝される。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
1 | カスパー・シュマイケル | 36 | ニース | 84試合 | ・今季ニースに電撃移籍 |
16 | オリバー・クリステンセン | 23 | ヘルタ・ベルリン | 1試合 | ・広範囲をカバーし、ブンデスリーガのGKで屈指の走行距離を記録 |
22 | フレデリク・レノウ | 30 | ウニオン・ベルリン | 8試合 | ・クロス、シュートへの反応が良く、安定感のあるパフォーマンスで代表を支える控えGK |
4 | シモン・ケアー | 33 | ミラン | 119試合(5) | ・膝の靭帯断裂に対し「若かったら乗り越えられなかった」と回顧 |
6 | アンドレアス・クリステンセン | 26 | バルセロナ | 56試合(2) | ・スピードが課題 |
17 | イェンス・ストリンガー・ラーセン | 31 | トラブゾンスポル | 49試合(3) | ・スピードが持ち味の攻撃的SBも、スタミナ切れが目立つ |
5 | ヨアキム・メーレ | 25 | アタランタ | 29試合(9) | ・右利きだが左サイドでプレー |
26 | アレクサンダー・バー | 24 | ベンフィカ | 4試合(1) | ・計り知れないスタミナを活かした積極的な攻撃参加で存在感を発揮する右SB ・守備に難あり |
2 | ヨアキム・アンデルセン | 26 | クリスタルパレス | 17試合 | ・対人守備と攻撃の起点になれるパス能力に定評のある大型CB |
3 | ビクトル・ネルソン | 24 | ガラタサライ | 7試合 | ・ライン統率力と戦術眼を持ち合わせ、CBならどこでもできる |
10 | クリスティアン・エリクセン | 30 | マンチェスター・U | 115試合(38) | ・クラブでは、3列目に下がって組み立てを担うタスクに取り組む |
8 | トーマス・デラネイ | 31 | セビージャ | 69試合(7) | ・自慢のスプリントで攻守に貢献するダイナモ。ミドルシュート、サイドチェンジも高レベル |
23 | ピエール・エミール・ホイビュア | 27 | トッテナム | 58試合(5) | ・バイエルンでプロデビュー |
18 | ダニエル・バス | 33 | ブレンビーIF | 43試合(1) | ・中盤から後ろならどこでもこなし、精度の高いパスとクロスを配給 ・守備も堅実 |
15 | クリスティアン・ノアゴー | 28 | ブレントフォード | 17試合(1) | ・クラブでは必要不可欠な存在 |
7 | マティアス・イェンセン | 26 | ブレントフォード | 19試合(1) | ・中盤の広いエリアをカバーするハードワーカー。クラブ、A代表ともに”第2のエリクセン”のような存在 |
13 | ラスムス・クリステンセン | 25 | リーズ | 8試合 | ・サイドからの積極的な攻め上がりで違いを作り出し、昨シーズンは7得点をマーク |
25 | イェスパー・リンドストローム | 22 | フランクフルト | 5試合(1) | ・昨シーズンのブンデス新人王 ・スピードにのったドリブル、ゴール前の鋭い飛び出しで得点に絡む |
20 | ユスフ・ポウルセン | 28 | RBライプツィヒ | 68試合(11) | ・長身を活かしたポストプレー、精力的なチェイシング、ボールキープが魅力。機動力を活かした相手の裏を取る動きでチャンスを演出 |
24 | ロバート・スコフ | 26 | ホッフェンハイム | 11試合(5) | ・18/19シーズンにリーグ戦最多の29ゴールを記録したウインガー ・所属クラブではSBやWBとしてプレー |
21 | アンドレアス・コウネリウス | 29 | コペンハーゲン | 41試合(9) | ・速さを備え、巧みなポストプレーで前線の基準点に |
12 | カスパー・ドルベア | 25 | セビージャ | 35試合(10) | ・足元技術と戦術眼を備える逸材ストライカー ・EUROでは3得点を挙げ脚光を浴びるも、ニースでは伸び悩む |
11 | アンドレアス・スコフ・オルセン | 22 | クラブ・ブルッヘ | 21試合(7) | ・テクニックとスピードで駆使したドリブルと精度の高い左足でゴールとアシストを量産 |
14 | ミッケル・ダムスゴー | 22 | ブレントフォード | 16試合(4) | ・EUROで大ブレイクしたウインガーの有望株 ・鋭いキレ味のドリブルを武器とし、CFとしてもプレーできる |
19 | ヨナス・ビンド | 23 | ボルフスブルク | 15試合(5) | ・大型CF ・空中戦の強さ、ペナルティーエリア内でのプレーが光る |
9 | マルティン・ブライスワイト | 31 | エスパニョール | 60試合(10) | ・不動産投資で大成功を収め、メッシが退団した後はバルセロナで「最も稼いでいる選手」に |
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