カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、W杯・南米予選でコロンビアやチリなどの強豪国を上回り、ストレートで本大会出場を決めるも、代表メンバーの国籍偽造疑惑で一時は出場も危ぶまれた、南米代表のグループA・「エクアドル代表」。
基本情報
出場回数 | 4回目 |
最高成績 | ベスト16 |
FIFA ランキング | 44位 |
首都 | キト |
人口 | 1776万人 |
監督 | グスタボ・アルファロ |
愛称 | ラ・トリ(トリコロール) |
<直近6試合の成績>
6/3 | 親善試合 | ナイジェリア | 〇 | 1-0 | H |
6/6 | 親善試合 | メキシコ | △ | 0-0 | A |
6/12 | 親善試合 | カーボベルデ | 〇 | 1-0 | H |
9/24 | 親善試合 | サウジアラビア | △ | 0-0 | A |
9/27 | キリンカップ | 日本 | △ | 0-0 | N |
11/12 | 親善試合 | イラク | △ | 0-0 | N |
・エクアドルがW杯出場するための戦略として、標高の高いキトでのホームゲームで勝利を重ね、アウェイでは粘り強く戦くことで勝ち点を稼ぎ、予選グループ4位以内に滑り込むのが、いつものパターン。
・今回のW杯・南米予選でも、初戦はアルゼンチンとのアウェーゲームに敗れはしたが、その後のウルグアイやコロンビアとのホ―ムゲームに勝利して勝ち点「3」を積み上げ、アウェーゲームでも粘り強く戦ってブラジルに2回、アルゼンチンに1回引き分けるなど、着実にポイントを稼いでいった。第3節以降は一度も4位以下に転落することなく、4位で2大会ぶり4度目のW杯出場を決めた。
・その後、DFカスティージョがコロンビア生まれで、国籍を偽った疑惑が浮上し、予選で敗退したチリのサッカー連盟に訴えられる騒動が発生した。情報が複雑化し、一時は出場権剥奪の可能性もあったが、結局はFIFAがチリ側の訴えを避け、カタール行きが確定した。
監督
名前 | グスタボ・アルファロ |
生年月日 | 1962.8.14(60) |
国籍 | アルゼンチン |
就任 | 2020.8月 |
・ラ・トリをW杯・南米予選4位に導き、ワールドカップに復帰させた。
・30年近くの指導キャリアがあり、南米では著名な監督の1人。ボカ・ジュニアーズ、ウラカン、ギムナシア・ラ・プラタ、アーセナル・サランディなど、アルゼンチンリーグのトップチームを率いた。アーセナル・サランディの監督時代には、クラブ史上初のリーグタイトルを獲得するなど実績を残す。
・攻撃的な【4-3-3】を好み、エクアドルをより攻撃的なチームに変貌させた。
基本フォーメーション・戦術
激しいプレスからの迫力ある速攻が武器も 深刻な決定力不足を解決できるかが課題
<基本フォーメーション>

・重鎮バレンシアを軸とした攻撃陣が奮起すれば16強入りも夢でない。
・6月の3試合は、エストゥピニャン、インカピエら20代前半の若手DFが躍動も、9月の2試合はともにスコアレスドローだった。
<攻撃時>

・左CBを務め、パスセンスに優れたインカピエと、バレンシアやイバラら突破力に優れたアタッカーが揃う左WGを活かした、左サイドからの攻撃が中心。
・ビルドアップ時は両SBがグルエソと同じ位置まで上がり、インカピエがメインの配給役となって、DF4人とグルエソでボールを回す。M・カイセドを経由して左サイドのバレンシアやイバラにボールを渡し、エストゥピニャンもフォローに回る。
・個人技で深い位置まで素早く運び、サイドからのクロスにエストラーダやプラタが合わせる形が確立されている。左からの攻撃を意識させたところで右にロングフィードを通し、プラタを走らせる形も有効。
・ファウルを犯さずにボールを奪えた際は、スピーディーなショートカウンターを発動。この時もサイド攻撃が中心で、ボールの奪取位置から近いサイドに素早く展開し、縦への突破からのクロスに多くの選手が走り込む形で得点を狙っていく。
<守備時>

・攻撃時にボールを奪われた際は、ボールホルダーにすかさずプレスを仕掛け、再奪取からの再攻撃を目指す。激しく相手にチャージするため、ファウルも多い。自陣に侵入されるぐらいなら、ファウルを犯してでも強引にプレーを食い止めるスタンスだが、その分カードも多く貰う。そのため、短期決戦のW杯では注意すべきポイントと言える。
・相手がボールを握っている場面では、フランコ、M・カイセドのどちらかが少しポジションを下げ、両ウイングも中盤に下がり【4-2-3-1】のようなフォーメーションになる。その際、中盤の3人がマンマーク気味に相手の攻撃のキーマンに対応し、ペナルティーエリアへの侵入を食い止める。
・前線から緩やかにボールを追い、ミドルサードに入ったあたりからアグレッシブにボール奪取を図るが、この時もファウルが多い。中盤を突破されてしまうと守備が遅れを取り、自陣ゴール前では連携が乱れてピンチに陥りやすいため、なるべくゴール前から遠い位置で相手の攻撃を食い止めることがコンセンサス。
注目選手(3人)
モイセス・カイセド (MF/ブライトン)
・”エクアドルのカンテ”
・今、プレミアリーグで最も注目されている中盤選手の1人。
・守備ではアグレッシブにプレスを仕掛け、ファウルも貰わないクリーンなタックルでボールを奪取する。ここ数年で飛躍的な成長を見せ、圧倒的な走力で広範囲をカバーし、中盤を制圧する。またオフ・ザ・ボールでは攻守両面でスペースへ移動し、効果的に相手を惑わせる。
・余裕があれば攻撃にも積極的に参加する。最終ラインにまで下がってボールを受け取り、正確なパスを供給することでビルドアップに貢献。前方にスペースがあれば自ら走り込んでゴールを狙うこともできる。
ピエロ・インカピエ (DF/レバークーゼン)
・”メガクラブ行きもありうる逸材CB”
・昨年夏、19歳で加入したレバークーゼンですぐにレギュラーに定着した。
・CBがメインだが左SBもこなせる。身長は184cmとCBにしては高くないが、危機察知能力が高く、あらゆる場面での駆け引きが上手な印象。正確なロングフィードで攻撃面でも重要な役割をこなす。
・エクアドル代表では守備陣の中心を担う。ロシア大会予選で29失点を喫したが、カタール大会予選では19失点に減少させ、守備の安定に大きく貢献した。
ぺルビス・エストゥピニャン (DF/ブライトン)
・”超攻撃型SB”
・豪快なサイドの駆け上がりと鋭いクロスが武器。上下動を繰り返せるスタミナとスピード、強靭なフィジカルを兼ね備える。
・昨シーズンは、チャンピオンズリーグ(CL)でベスト4入りしたビジャレアルで主力を張り、公式戦41試合でプレーした。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
22 | アレクサンデル・ドミンゲス | 35 | LDUキト | 66試合 | ・長身と長い手足を活かして無難なセービングを見せる |
1 | エルナン・ガリンデス | 35 | アウカス | 11試合 | ・至近距離からのシュートにめっぽう強い |
12 | ウェリントン・ラミレス | 22 | インデペンディエンテ・デル・バジェ | 2試合 | ・身体能力への依存が強いが、反応は抜群 |
4 | ロベルト・アルボレダ | 31 | サンパウロ | 32試合(2) | ・的確で鋭いタックルと打点の高いヘディングで堅い守備を築く |
7 | ぺルビス・エストゥピニャン | 24 | ブライトン | 26試合(3) | ・攻撃性能が高い分、守備に難あり |
17 | アンヘロ・プレシアード | 24 | ヘンク | 24試合 | ・スピードを活かした縦への突破と鋭いクロスが武器 |
3 | ピエロ・インカピエ | 20 | レバークーゼン | 21試合 | ・クラブのU-20のカテゴリーで、南米王者を経験 |
14 | シャビエル・アレアガ | 28 | シアトル・サウンダース | 17試合(1) | ・空中戦に強い、MLS屈指のCB ・統率力が高いことから”大統領”とクラブで言われているとか |
2 | フェリックス・トーレス | 25 | サントス・ラグーナ | 16試合(2) | ・豊富な運動量で広いエリアをカバーし、長い手足を活かしてボールを回収する |
18 | ディエゴ・パラシオス | 23 | ロサンゼルスFC | 11試合 | ・自由自在なドリブルで突破を図り、ピンポイントのクロスでチャンスを演出 |
6 | ウィリアム・パチョ | 21 | ロイヤル・アントワープ | 0 | ・ベルギーで成熟したプレーを見せるCBの逸材 ・インターセプトが得意で、空中戦にも強い ・左足の展開力も高い |
25 | ジャクソン・ポロソ | 22 | トロワ | 5試合 | ・恵まれたフィジカルを活かして空中戦では圧倒的な強さを誇るCB ・9月の試合ではインカピエと好連携を見せた |
8 | カルロス・グルエソ | 27 | アウクスブルク | 44試合(1) | ・厳しいタックルで相手を潰し、素早く攻守の切り替えを促す ・中盤の底で守備の番人を務める |
15 | アンヘル・メナ | 34 | レオン | 43試合(7) | ・繊細なタッチのドリブルで相手を惑わすウインガー |
20 | ジェグソン・メンデス | 25 | ロサンゼルス FC | 30試合 | ・ボール奪取からの大胆な攻め上がりやパスで攻守の切り替えを促進 |
19 | ゴンサロ・プラタ | 22 | バジャドリー | 28試合(5) | ・殺傷能力抜群のウインガー ・鋭いドリブルで相手の逆を取り、好機を演出する |
23 | モイセス・カイセド | 21 | ブライトン | 23試合(2) | ・10人兄弟の末っ子 |
10 | ロマリオ・イバラ | 28 | パチューカ | 22試合(3) | ・ラガーマンのようなフィジカルとスピードを前面に活かしてゴールに迫る |
21 | アラン・フランコ | 24 | アトランタ・ユナイテッドFC | 22試合(1) | ・狭いエリアでもボールをキープでき、効果的なパスとミドルを繰り出す |
5 | ホセ・シフエンテス | 23 | ロサンゼルスFC | 8試合 | ・広い範囲にパスを散らし、チャンスにつなげる |
16 | ジェレミー・サルミエント | 20 | ブライトン | 9試合 | ・巧妙なドリブルが武器で、2列目ならどこでも起用できる逸材 |
13 | エネル・バレンシア | 33 | フェネルバフチェ | 72試合(35) | ・代表最多の得点記録を持つ不動のエース ・格別な得点感覚を誇り、中盤に降りて来てゲームメイクにも貢献 |
9 | アイルトン・プレシアード | 28 | サントス・ラグーナ | 27試合(3) | ・ボール保持に優れ、ラストパスで好機を演出 |
24 | ジョルカエフ・レアスコ | 23 | ニューウェルス | 3試合 | ・機動力を活かしたオフ・ザ・ボールの動きに優れるアタッカー ・相手を出し抜いて、どんな形からでもゴールを奪えるのが魅力 |
26 | ケビン・ロドリゲス | 22 | インバブラ | 1試合 | ・サプライズ招集された、エクアドル2部に在籍する得点王 ・広い範囲を動き回り、ポストプレーで攻撃の起点を創る |
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