カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、ヨーロッパにも挑戦できる実力者たちを揃え、W杯・アジア予選では日本を抑えてグループ1位でW杯出場を決め、カタールW杯では中東開催というアドバンテージを活かしてジャイアントキリングを狙う、アジア代表のグループC・「サウジアラビア代表」。
基本情報
出場回数 | 6回目(2大会連続) |
最高成績 | ベスト16 |
FIFA ランキング | 53位 |
首都 | リヤド |
人口 | 3427万人 |
監督 | エルベ・ルナール |
愛称 | グリーン・ファルコンズ |
<直近6試合の成績>
9/24 | 親善試合 | エクアドル | △ | 0-0 | N |
9/28 | 親善試合 | アメリカ | △ | 0-0 | N |
10/23 | 親善試合 | 北マケドニア | 〇 | 1-0 | N |
11/7 | 親善試合 | アイスランド | 〇 | 1-0 | N |
11/11 | 親善試合 | パナマ | △ | 1-1 | N |
11/17 | 親善試合 | クロアチア | ● | 0-1 | H |
・前回大会ではモロッコ代表を率いていたルナール監督の下、日本、オ―ストラリアと同居したアジア最終予選をグループ1位で勝ち抜き、出場権を獲得した。
・若きエースのアル・ブライカンを筆頭に、欧州に挑戦できる実力を備えたタレントが総じて国内クラブに所属。特に、アル・ヒラル、アル・ナスル、アル・イテハド、アル・シャバブの4クラブに所属している選手がメンバーの殆どを占めており、アル・ヒラルに関してはレギュラーのほぼ全員が代表メンバーである。しかもアル・ファラジやアル・ドサリなど前体制からA代表で活動している選手も多く、コンビネーション面での不安は殆ど無い。
・ルナール監督になって以降、ポゼッションを高めるだけでなく、ロングフィードや大胆なサイドチェンジを織り交ぜるシステムを取り入れた。中東での開催だけに、カタールW杯での躍進を目指すモチベーションは高い。
監督
名前 | エルベ・ルナール |
生年月日 | 1968.9.30(54) |
国籍 | フランス |
就任 | 2019.7月 |
・外国生まれの監督としてチーム史上最多勝利(18勝)を記録。
・アフリカでの指導歴が長く、ザンビア代表とコートジボワール代表の監督としてアフリカ・ネーションズカップを2度制覇した実績を持つ。
・俳優のようなイケメン監督で、中継カメラによく抜かれる。
・プロ選手を引退した後は清掃員として働き、最終的に自分の清掃会社を立ち上げる。
基本フォーメーション・戦術
成熟した個のクオリティーとチーム力 戦い慣れた地で94年以来の16強へ
<基本フォーメーション>

・前回大会にも出場したドリブラーのアル・ドサリ、司令塔のアル・ファラジ、左SBのアル・シャラハニ、CBのアル・ブライヒ、守護神アル・オワイスがチームの中心。
・期待のホープはW杯アジア最終予選3節で、ホームでの日本戦で決勝ゴールを叩き込んだ22歳のアル・ブライカン。ボックス内での勝負強さを活かして強豪国からゴールを奪えるか。
<攻撃時>

・ボールを回収すれば、シンプルにアル・ブライカンやアル・ドサリ、アル・ムワラドにクサビを送り、そのまま個人技でフィニッシュに持ち込む。
・トップ下のアル・ファラジを含めた前線の4人はドリブルで局面を打開できる能力があるだけでなく、バイタルエリアやボックス内でファウルをもらうのもうまい。
・相手の守備が整っている場面ではショートパスを中心に後方から攻撃を組み立て、そこにボランチが絡み、左右のSBはできるだけ高い位置を取る。そのためボランチの1人が最終ラインに加わるケースが多い。
・相手陣内までボールを運ぶと、サイドハーフとSB、ボランチが近い距離でトライアングルを形成してパスを回す。そこでプレッシャーに来た相手の背後や脇のスペースを突いて、ゴールに結びつくプレーを展開する。同サイドから縦に突破してクロスを供給するケース、トップ下のアル・ファラジがインナースペースでパスを受けてラストパスやドリブルを仕掛けるケース、サイドチェンジで逆側のオープンスペースを使うケースなど、攻撃の選択肢は多い。
・問題はペナルティーエリア外でのチャンスメイクに人数を懸ける分、ボックス内でフィニッシュに絡む選手が少ないこと。リスクを犯して人数を増やすかどうかは、ルナール監督が試合の局面で判断することだろう。
<守備時>

・守備は【4-4-2】がベース。
・基本的には高い位置からプレッシャーをかけてボール奪取を狙う。それと同時に、守備ブロックを敷くためにリトリートも行う。攻撃時に高い位置を取っていたSBが帰陣するための時間を稼ぐことが絶対条件。
注目選手(3人)
サルマン・アル・ファジリ (MF/アル・ヒラル)
・”絶対的な司令塔”
・絶妙なスルーパスを駆使して、あらゆる攻撃に絡んでチャンスを創り出すゲームメイカー。ボックス・トゥ・ボックスの役割を担い、常にボールを前に運び、ボールを奪うことは不可能に近い。
・所属クラブのアル・ヒラルとサウジアラビア代表でともにキャプテンを務める。
・前回大会のロシアW杯では、エジプト戦でPKによりワールドカップ初得点を記録。
サレム・アル・ドザリ (MF/アル・ヒラル)
・”小柄なストライカー”
・サウジアラビアの得点源であり、ドリブルの名手。両足でシュートを放つことができ、そのパワーとテクニックは見るものを圧倒する。
・所属クラブで同僚であるアル・ファラジとの絶妙なコンビネーションで左サイドから攻撃を仕掛ける。
・ロシアW杯・グループステージ最終節のエジプト戦では後半に決勝点となるゴールを決めた。
フィラス・アル・ブライカン (FW/アル・ファティフ)
・”グリーン・ファルコンズの若きエース”
・この1年で監督のお気に入りとなり、「決定的なゴールを決める男」と呼ばれるように。
・国際レベルでの活躍はサウジアラビア・プロフェッショナル・リーグでの活躍には及ばないが、彼のインパクトは得点だけにとどまらず、ウイングをサポートする重要な役割も担っている。
・ボールの受け手としてフィールドを縦横無尽に駆け巡り、チームメイトとの連係プレーもこなす、優れたアタッカー。試合展開が乱れれば、ディフェンスの裏をかくプレーもこなす。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
21 | モハメド・アル・オワイス | 31 | アル・ヒラル | 36試合 | ・ゴール前で安定感抜群の守護神 ・攻撃の起点となることもできる |
1 | モハメド・アル・ルバイエ・アル・ヤミ | 25 | アル・アハリ | 5試合 | ・抜群の反射神経と勝負強さが武器 |
22 | ナワフ・アル・アキディ | 22 | アルナスル | 0 | ・22年のU-23アジア杯でサウジアラビア代表を優勝に導いた、大会最優秀GK ・未だにトップチームデビューをしていないが国内リーグで成長中 |
13 | ヤセル・アル・シャハラニ | 30 | アル・ヒラル | 69試合(2) | ・右利きの左SB ・外でも中でも攻撃に絡めるタイプ |
6 | モハメド・アル・ブレイク | 30 | アル・ヒラル | 35試合(1) | ・攻撃的なSB ・縦に突破してからの高速クロスが武器 |
5 | アリ・アル・ブライヒ | 33 | アル・ヒラル | 30試合 | ・今年のクラブワールドカップでは、チェルシーのルカクと激しいマッチアップを繰り広げた |
4 | アブドゥレラー・アル・アムリ | 25 | アル・ナスル | 12試合(1) | ・高い位置にある最終ラインのリスク管理を担う最後の砦 |
3 | アブドゥラー・マドゥ | 29 | アル・ナスル | 11試合 | ・対人戦に強く、フィジカルも圧倒的 |
2 | スルタン・アル・ガナム | 28 | アル・ナスル | 21試合 | ・右サイドから内に外に攻め上がる |
12 | サウド・アブドゥルハミド | 23 | アル・ヒラル | 15試合 | ・デュエルに定評がある右SB |
17 | ハッサン・タムバクティ | 23 | アル・シャバブ | 13試合 | ・育成時代から代表の主力を担う |
7 | サルマン・アル・ファラジ | 33 | アル・ヒラル | 68試合(8) | ・PKやFKの場面でも頼りになる |
10 | サレム・アル・ドサリ | 31 | アル・ヒラル | 65試合(17) | ・2018年には、サウジアラビアサッカー連盟とラ・リーガとの契約の一環で、ビジャレアルにローンで移籍し、1試合に出場した |
23 | モハメド・カンノ | 28 | アル・ヒラル | 31試合(1) | ・柔軟なボール捌きで攻撃のリズムを作る長身のテクニシャン |
8 | アブドゥレラー・アル・マルキ | 28 | アル・ヒラル | 21試合 | ・長短のパスでチャンスに結びつけるプレーメーカー |
15 | アリ・アル・ハッサン | 25 | アル・ナスル | 7試合(1) | ・中盤でのボール奪取力でチームに貢献 |
14 | アブドゥラー・オタイフ | 30 | アル・ヒラル | 44試合(1) | ・ポゼッションに貢献するアンカー |
19 | ハッタン・バヘブリ | 30 | アル・シャバブ | 35試合(4) | ・右サイドからの高速クロスでチャンスを演出 |
26 | リヤド・シャラヒリ | 29 | アブハ | 2試合 | ・弱小クラブを渡り歩いて29歳にしてA代表デビューを果たしたボックス・トゥ・ボックス型 ・中盤でフィルター役を担い、相手にチャンスを創らせない ・空中戦にも強く、シュートは強力 |
16 | サミ・アルナジ | 25 | アルナスル | 15試合(2) | ・強烈な左足のシュートを秘める攻撃的MF ・攻撃にダイナミズムをもたらし、1対1にも強い |
20 | アブドゥルラフマン・アルアブード | 27 | アルイテハド | 2試合 | ・2018年の代表デビューから3年に渡って控えとして過ごし、9月には代表メンバーから落選。しかし所属クラブで監督のエスピーリト・サントから相手DFの攻略法を伝授されて進化を遂げたウインガー |
18 | ナワフ・アル・アベド | 32 | アル・シャバブ | 50試合(8) | ・豊富な運動量で広範囲を動き回るプレーメーカー ・セットプレーやゴール近くのスペースで相手の脅威に ・アジア最終予選では5ゴールを記録して本大会出場に貢献 |
24 | ナセル・アルドサリ | 23 | アルヒラル | 8試合 | ・本職は左SBながら、左足の質の高さを買われて代表では司令塔を務める万能型 |
9 | フィラス・アル・ブライカン | 22 | アル・ファティフ | 22試合(6) | ・最終予選で一躍台頭し、狡猾さも見せる |
11 | サレー・アル・シェフリ | 29 | アル・ヒラル | 16試合(8) | ・ボックス内でボールを持てば高確率でゴールを取れるストライカー ・ブライカンの台頭でジョーカー枠に |
25 | ハイサム・アシリ | 22 | アルアハリ | 1試合 | ・前線を自由に動き回ってスペースを作って、チャンスに結びつけるアタッカー ・攻撃的ポジションならどこでも起用でき、本大会ではジョーカー役に相応しい |
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