カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、昨年のコパ・アメリカで28年ぶりの国際タイトルを手に入れ、W杯・南米予選は無敗の2位通過でカタール行きを決めた、南アメリカ代表のグループC・「アルゼンチン代表」。
基本情報
出場回数 | 18回目(13大会連続) |
最高成績 | 優勝(2回目) |
FIFAランキング | 3位 |
首都 | ブエノスアイレス |
人口 | 4538万人 |
監督 | リオネル・エスカローニ |
愛称 | アルビセレステ (白と空色) |
<直近6試合の成績>
3/30 | W杯予選 | エクアドル | △ | 1-1 | A |
6/2 | フィナリッシマ | イタリア | 〇 | 3-0 | N |
6/6 | 親善試合 | エストニア | 〇 | 5-0 | N |
9/24 | 親善試合 | ホンジュラス | 〇 | 3-0 | H |
9/28 | 親善試合 | ジャマイカ | 〇 | 3-0 | H |
11/16 | 親善試合 | UAE | 〇 | 0-5 | A |
・28年ぶりの国際タイトルとなったコパ・アメリカの決勝の相手は宿敵のブラジル、舞台は聖地マラカナンで、その喜びもひとしおだった。チームは長年の重圧から解放され、リラックスした状態でカタールに乗り込めるだろう。
・前回のロシアW杯後に指揮権を引き継いだエスカローニ監督は、就任当初の厳しい批判にも屈せず、試行錯誤を重ねながら世代交代を進めてきた。プレースタイルを確立し、「メッシ依存症」からの脱却にも成功した。
・この4年で完全に生まれ変わったチームは、コパ・アメリカ王者とEURO王者が相まみえた今年6月の「フィナリッシマ」でも、イタリア相手に3-0の快勝。カタールW杯直前のUAE戦でも圧勝し、無敗記録を36試合までに伸ばしている。86年メキシコ大会以来、36年ぶりの世界制覇へ、国民の期待は高まるばかりだ。
監督
(名前) | リオネル・エスカローニ |
(生年月日) | 1978.5.16(44) |
(国籍) | アルゼンチン |
(就任日) | 2018.8月 |
・世代交代を図りながらチームに明確なアイデンティティを植え付け、昨年のコパ・アメリカで28年ぶりのメジャータイトを獲得。国民、特に若い世代の心を掴んだ。
・前回のロシア大会終了後に就任してしばらくの間は、人選・戦術・フォーメーションに至るまで厳しい評価を受けたが、「自分の考えに固執せず選手のタイプに合わせた方が良いことに気づいた。」と打ち明けたことで、完成度の高いチームに変貌。
・アイマール、アジャラ、サムエルら代表OBのスタッフを従え、悲願の世界制覇へ。

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基本フォーメーション・戦術
脱”メッシ依存”に成功した戦術に磨きをかけ レジェンド達に有終の美を
<基本フォーメーション>

<攻撃編>

・選手のスキルを最大限に生かすべくポゼッションに重きを置き、細かいパスを繋いでチャンスを作るスタイルに方向性を定めた結果、試合を重ねるごとにプレーのアイデアが明確化した。そして昨年のコパ・アメリカをもってレギュラーメンバーがほぼ固まり、完成度が高いチームに仕上がった。
・ベースとなるフォーマーションは【4-3-3】。昨年のコパ・アメリカ決勝のブラジル戦のように【4-4-2】を採用することもあるが、エスカローニ監督は基本フォーメーションにはさほどこだわらず、シーン別またはゲームの展開ごとにポジショニングのパターンを決めている。
・守から攻へのトランジションでは、SBの動き次第で4バックと3バックを併用。CBの手前に位置するパレデスを起点に菱形をつくり、メッシ、ディ・マリアといったベテラン勢とロ・チェルソ、デ・ポルら新世代のMFがシンクロしたパスワークでボールを運ぶ。
・前線ではL・マルティネスが待ち伏せるが、攻め上がったSBを含む全員が空いたスペースに入り込み、果敢にゴールを狙う前線で総攻撃を仕掛ける中、メッシはライン間を自由に動き回り、時には自陣まで下がってビルドアップに加わる。
<守備編>

・相手にインターセプトされた直後はボール周辺の選手全員でハイプレスをかける。自陣に持ち込まれた場合は前線のL・マルティネスとメッシ以外の全員で守備ブロックを形成。ゾーンディフェンスで追い込みながらもマンツーマンで中央への侵入を防ぐ。
・CBのロメロとオタメンディが築く壁に、MFデ・ポルの献身的なリカバリーがカギ。
注目選手(8人)
リオネル・メッシ (FW/パリサンジェルマン)
・”Dios(神)”
・サッカー史にその名を刻む”生ける伝説”。繰り出される小刻みなドリブルは変幻自在で、スピードに乗ったら普通に止めることは不可能。常人には到達不能な得点能力のみならず、卓越したアシスト能力も備え、リーグ・アン挑戦1年目にしてリーグ2位の14アシストを記録。
・昨シーズンはクラブの財政事情によって長年在籍した愛するクラブを退団し、ネイマールやディ・マリアのいるPSGへ人生初の移籍を経験。プロ2年目以来の得点が2桁に届かず適応に苦しんだ。しかし、今シーズンは開幕から多くの得点に絡むなど好調を維持している。
・代表では、「最高の仲間たち」と呼ぶチームメイトとともに、アルゼンチン選手としては最多の5度目のW杯に挑む。
ディ・マリア (FW/ユベントス)
・”魔法の左足”でメッシを支え続ける名脇役。
・抜群のテクニックでいぶし銀のプレーを見せる技巧派MF。芸術的なボールキープ力と細かいタッチのドリブルで相手を翻弄。サイドから独力で打開するのも、連係で崩すのも自由自在。
・左足から繰り出されるフリーキックやミドルシュートの高い決定力はいまだに健在。
ラウタロ・マルティネス(FW/インテル)
・”点取り屋”
・多彩なシュートパターンからゴールを量産するストライカー。エリア内の基準点としてプレーする一方、スペースを創り出すオフ・ザ・ボールの動きも秀逸。代表でのメッシとのコンビネーションも抜群で、CFとして不動の地位を確立。裏に抜け出す速さ、ポストプレーをこなす巧さ、ゴール奪う決定力を併せ持つ。スキがあればボール奪取を狙う守備意識の強さも魅力。
・中盤に下りて相手選手を背中に背負った状態でボールを受け、攻撃の起点になることもでき、簡単には潰さることはない。さらには起点になるだけでなく、ボールを受ける瞬間にターンで前を向いてドリブルするテクニカルな技も持ち合わせ、自ら攻撃のスイッチを入れることもできる。
ロドリゴ・デ・ポル(MF/アトレティコ・マドリー)
・”新生アルゼンチンの象徴”
・アルゼンチン代表の中盤を支配する万能型MF。高いテクニック、運動量、守備対応など中盤の選手に求めらる能力を高いレベルで兼ね備える。さらに熱い闘争心も持ち合わせ、リスクを恐れない攻撃なプレーで、チームにダイナミズムをもたらす。
・戦術理解度も高く、前線のアタッカーに攻撃の起点となる質の高いパスを供給すれば、守備対応では的確な位置取りでスペースを埋める。そこから果敢にプレスを仕掛けてボールをもぎ取る対人戦の強さも魅力。
レアンドロ・パレデス(MF/ユベントス)
・”レジスタ”
・最終ラインと中盤の密集したエリアで、成功率の高い長短のパスを散らし、中盤の質を上げる攻守の繋ぎ役。芸術の域に入るロングパスやミドルシュートは必見。代表では守備的MFをこなすが、一列前でより攻撃的な役割を担うこともできる。
・アルゼンチン代表、PSG、ユベントスといった前線に攻撃性能の高いアタッカー陣を擁するチームにおいて、重要な役割を任されている。アルゼンチンの名門ボカ・ジュニアーズの出身。
クリスティン・ロメロ(DF/トッテナム)
・”対人最強”
・1対1の対人戦がとにかく強い。セリエAのアタランタ時代にマンジュキッチやルカクなど大柄な選手たちおも吹き飛ばしてしまうほどのフィジカルを活かして、プレミアリーグにも素早く順応。
・落ち着いたボールキープと中盤へのパス出しでビルドアップ役も担い、巻き返しの原動力に。時には高精度のロングフィードも配給可能。
・多少荒すぎるプレースタイルは改善の余地あり。
ナウエル・モリ―ナ(DF/アトレティコ・マドリー)
・”攻撃的SB”
・昨季はセリエAで8ゴール・5アシストを記録した攻撃力が特徴。豊富な運動量とスピードを活かして、右サイドから頻繁にフィニッシュに絡む。右サイドを駆け上がってクロスを供給するだけでなく、走り込むFWのもとにパスを送り確実にシュートに結びつける。
・イタリアで磨かれた守備力や戦術眼も魅力で、パスを引き出すオフ・ザ・ボールの動きも一級品。
エミリア―ノ・マルティネス(GK/アストン・ビラ)
・”不動の守護神”
・195cmの大柄で強靭なフィジカルと長い手足を持つビックセーバー。昨年6月にフル代表デビューを飾り、コパ・アメリカ制覇の原動力に。
・抜群の反射神経を活かしたセービングや空中戦での強さ、判断の良い飛び出し、フィードなど現代サッカーのGKに必要な能力をハイレベルで備える。足元のスキルも高くビルドアップの面でも大きく貢献できる。
・代表では出場した18試合で無敗を誇る。
選手一覧
<GK>
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
23 | エミリアーノ・マルティネス | 30 | アストン・ビラ | 17試合 | ・大胆不敵なキャラクターが受けメッシに次いで代表の人気者に |
1 | フランコ・アルマーニ | 36 | リーベル・プレート | 18試合 | ・ロシアW杯では正GKだったが、現在は控えに甘んじている |
12 | ヘロニモ・ルリ | 30 | ビジャレアル | 3試合 | ・南米最終予選でフル出場し、安定したパフォーマンスが高評価 |
<DF>
19 | ニコラス・オタメンディ | 34 | ベンフィカ | 91試合(4) | ・鋭い読みと攻撃的な守備対応で衰えを感じさせないDFリーダー |
8 | マルコス・アクーニャ | 31 | セビージャ | 42試合 | ・攻守両面で安定感抜群の左SB ・スペースを掻い潜って正確なクロスを供給する一方で、対人守備でも容赦はしない |
3 | ニコラス・タグリアフィコ | 30 | OLリヨン | 40試合 | ・豊富な運動量を武器に、終始冷静な守備対応を見せ、攻撃面でも厚みをもたらす ・コパ・アメリカ優勝後に結婚 |
26 | ナウエル・モリ―ナ | 24 | アトレティコ・マドリー | 17試合 | ・過去にボカとの契約更新にいたらずフリーでウディネーゼに移籍 |
4 | ゴンサロ・モンティエル | 25 | セビージャ | 16試合 | ・右SBが本職だがCBとしてもプレーできる汎用性の高さから代表に不可欠 |
13 | クリスティアン・ロメロ | 24 | トッテナム | 11試合(1) | ・試合中の気性が荒く、チェルシー戦ではククレジャの髪を引っ張り話題に |
25 | リサンドロ・マルティネス | 24 | マンチェスター・U | 7試合 | ・闘志みなぎる攻撃的な守備が特徴のタフガイ ・左足の精度が高く、左SB・守備的MFとしてもプレーできるマルチ ・アヤックス時代の異名は”アムステルダムの殺し屋” |
6 | ヘルマン・ベッセーラ | 31 | ベティス | 30試合(2) | ・熟練のCBで、対人戦でのテクニックは”職人の域” ・26歳で代表デビューの遅咲き |
2 | フアン・フォイス | 28 | ビジャ・レアル | 15試合 | ・昨季はビジャレアルで右SBとして一皮剥けた逸材 ・粘り強い守備とセンスあるカバーリングが特徴 |
<MF>
5 | レアンドロ・パレデス | 28 | ユベントス | 44試合(4) | ・8歳の時に一目惚れした人と結婚し、二児の父 |
24 | エンソ・フェルナンデス | 21 | ベンフィカ | 2試合 | ・攻守に高い貢献度を誇るアルゼンチンの新星 ・アグレッシブなプレースタイルが売りで、前線にも積極的に顔を出す |
7 | ロドリゴ・デ・ポル | 28 | アトレティコ・マドリー | 42試合(2) | ・リケルメが憧れ ・人気のポップシンガーと交際 |
18 | ギド・ロドリゲス | 28 | ベティス | 24試合(1) | ・パレデスと幼馴染 ・ボール奪取力はチーム随一で、パレデスが不在の時は代わりに中盤の舵取りを担う |
14 | エセキエル・バラシオス | 24 | レバークーゼン | 20試合 | ・控えだが、技術レベルが高く、監督も一目置く |
17 | アレハンドロ・ゴメス | 34 | セビージャ | 14試合(3) | ・ムードメーカー ・ダイナモながら決定力も兼ね備える ・最初で最後のW杯出場を目指す |
20 | アレクシス・マカリステル | 23 | ブライトン | 5試合 | ・サッカー一家に生まれる ・昨年は五輪に出場 |
16 | ティアゴ・アルマダ | 21 | アトランタ | 1試合 | ・抜群のテクニックに高い身体能力を持ち合わせる、アルゼンチンの超有望選手 ・MLSでは最優秀新人に選出された ・9月のホンジュラス戦で代表デビューを果たし、活気に満ちたプレーをメッシから賞賛された |
<FW>
10 | リオネル・メッシ | 35 | PSG | 162試合(86) | ・悲願の世界制覇で栄光のキャリアの総仕上げへ |
11 | アンヘル・ディ・マリア | 34 | ユベントス | 122試合(25) | ・今大会を最後に代表を引退 |
22 | ラウタロ・マルティネス | 25 | インテル | 38試合(20) | ・落選したロシアW杯では、当時の監督に臆せず不満を口にした |
21 | パウロ・ディバラ | 29 | ローマ | 34試合(3) | ・創造主ながらメッシの壁に阻まれる ・2部時代につけられた「宝石」の愛称に相応しい活躍を代表で見せたい ・対戦相手のポーランドは曽祖父の祖国 |
15 | アンヘル・コレア | 27 | アトレティコ・マドリー | 21試合(3) | ・機動力に富んばセカンドトップでサイドを難なくこなし、勝負強い |
9 | フリアン・アルバレス | 22 | マンチェスター・C | 9試合(1) | ・天性の得点嗅覚でフィニッシュに持ち込む、ブレイク間近の逸材 ・リーベルが大切に育てた逸材で、今シーズンからマンチェスター・Cでプレー |
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