カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、「Together Stronger」をモットーに長年の改革が実り、近年の国際大会では下馬評を覆しての大活躍を見せ、カタールW杯ではグループステージ突破も夢ではない、ヨーロッパ代表のグループB・「ウェールズ代表」。
基本情報
出場回数 | 2回目 |
最高成績 | ベスト8 |
FIFA ランキング | 19位 |
首都 | カーディフ |
人口 | 314万人 |
監督 | ロブ・ペイジ |
愛称 | ドラゴンズ |
<直近6試合の成績>
6/6 | W杯予選プレーオフ | ウクライナ | 〇 | 1-0 | N |
6/9 | UNL | オランダ | ● | 1-2 | H |
6/12 | UNL | ベルギー | △ | 1-1 | H |
6/15 | UNL | オランダ | ● | 3-2 | A |
9/23 | UNL | ベルギー | ● | 2-1 | A |
9/26 | UNL | ポーランド | ● | 0-1 | H |
・11年前に亡くなったギャリー・スピード元監督の始めた改革がついに成熟したウェールズ代表。「W杯出場は、もはや夢ではなくなった」とベイジ監督が言うように、W杯予選プレーオフでは、オーストリアとウクライナを破って64年ぶり2度目のW杯出場を決めた。
・EURO2016ではベスト4進出の番狂わせを起こし、昨年はグループステージ突破、W杯予選はベルギーに次ぐグループ2位と強豪国と渡り合えることを示した。「Together Stronger」をモットーに、ベイルやラムジーの黄金世代とジェームズなど新世代が融合したクラブチームのような絆が最大の強み。
・本大会では運良く、イングランド、アメリカ、イランのいるグループBに組み分けられ、グループステージ突破も満更ではない。年齢のことを考えれば、ベイルやラムジーの黄金世代にとっては最後のW杯となる可能性が高いだけに有終の美を飾りたい。特に第3戦のイングランドとの英国決戦には注目。
監督
名前 | ロブ・ペイジ |
生年月日 | 1974.9.3(48) |
国籍 | ウェールズ |
就任 | 2020.11月 |
・2017年からウェールズU-21監督を2年間務め、2019年8月にライアン・ギグス率いるA代表のアシスタントマネージャーに就任。ギグスの停職処分を受けて、2020年11月から暫定監督としてチームの指揮を執り始め、今年6月に正式に監督に就任。
・ネーションズリーグでは、ウェールズをトップカテゴリーであるグループAに昇格させ、EURO2020ではグループステージ突破。2022年6月には、1958年以来初のワールドカップ出場となるカタールW杯の出場権獲得に導いた。
・現役時代には、ウェールズ代表として41試合に出場し、1度キャプテンを務めた。2005年2月、ハンガリーに2-0で勝利したことがキャリアの中で最も誇りに思う瞬間だと語る。

ウェールズ代表 アウェイレプリカユニフォーム
サッカー ウェア レプリカ
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基本フォーメーション・戦術
「黄金世代」と「次世代」が攻守に結束し ウェールズの歴史に新たな1ページを刻む
<基本フォーメーション>

・64年ぶりにW杯に臨む”ドラゴンズ”のキーマンは絶対的エースのベイル。ワールドクラスの左足はいまだ健在で、キャプテンとしてチームをまとめ上げる。
・6月のネーションズリーグではベルギーとオランダ相手に21歳のFWジョンソンが2戦連発と、待望の若手が台頭。過去2回のEUROで見せつけた実力をカタールの地でも発揮できるか注目。
・5バックに近い3バックで守りを固めてから、切れ味鋭いカウンターで少ないチャンスをものにする「堅守速攻」をベースとするチーム。
・重要視するのは「守備」。守り慣れたチームのため、試合の主導権を握られてもストレスを感じずに数少ないチャンスを辛抱強く待てるのが強み。
<攻撃時>

・ボール奪取後は、最終ラインから一気に走り出したFWにロングパスを送ってカウンターを狙う。一方で、無駄なボールロストを減らすためにCB3人でボールを保持する場面も見られる。その間にWBが駆け上がって起点を作り、中盤にスペースが生じれば最終ラインのB・デイビスが持ち出して数的優位を作る。
・チームの生命線の一つがWBの運動量とボール運び。左WBを任される右利きのN・ウィリアムズは中央へ切り込んで自らフィニッシュも狙う。
・昨年のEUROからの違いは”ベイル依存度”を減らしたこと。以前ほどエースの個人技に依存せず、チーム戦術に関しては、前線のジェイムズの裏へ抜け出すスピードを軸としている。彼がフリーラングで相手の最終ラインを押し下げることでアタッキングエリアにスペースが生まれ、そこにMFのラムジーやウィルソンが飛び出すことで攻撃に厚みをもたらす。
・最終的に大仕事をするのは主将のベイル。左足のシュート力はまだ衰えを知らず、強烈な直接FKという飛び道具も持っている。FW陣には自力でフィニッシュまで持ち込めるジョンソンという期待の若手が台頭したことで選択肢が広がった。
<守備時>

・プレスの強度は低く、リトリートを最優先に考える。守備的に戦う際は、前線からのプレスを諦め両WBが完全に引いて5バックを形成しボックス内を固める。時には、MFアンパドゥが下がって6バックになることもある。
・ボックス内に放り込まれた相手のクロスをCBの3人が跳ね返し、中盤の3枚が中央のスペースを消す。
・ロドンを中心としたCB3人の体を張ったシュートブロックに定評があり、GKとの連携でシュートコースを制限。1人が抜かれても周りの選手のサポートが早く、何層もの人海戦術でゴールを守り抜く。
注目選手(5人)
ギャレス・ベイル (FW/ロサンゼルスFC)
・”ウェールズの英雄”
・天賦のスピードと身体能力で相手DFを置き去りし、独力で試合を決定づける”怪物フォワード”。絶頂期のスプリント能力は世界最高レベル。黄金の左足から放たれる破壊力抜群のシュートで、エリア外からのミドルやFKなどで数多くの記憶に残るゴールを量産してきた。
・個人としてもマドリー通算100ゴールを達成し、UEFAチャンピオンズリーグ決勝などの大舞台で決勝ゴールを決め、マドリーにタイトルをもたらしてきた。
・W杯出場の懸かったプレーオフのオーストリア戦では2ゴール、ウクライナ戦でも直接FKで決勝点となるオウンゴールを誘発するなど、代表では大きな違いを作り出す最大の切り札。
ダニエル・ジェイムズ (FW/フルアム)
・”カウンターの申し子”
・プレミアでも上位のスピードで、スペースを駆け上がるウインガー。ベイルを彷彿とさせる切れ味鋭いドリブルで直線的に仕掛け、縦に突破すればクロスやカットインからのシュートでゴールに迫る。
・攻守の切り替えも早く、豊富な運動量を活かした常に走り続ける献身性で、守備でもチームに貢献できる。
ベン・デイビス (DF/トッテナム)
・”堅実性が魅力のCB”
・センターバックとサイドバックで起用できる万能型ディフェンダー。裏へのロングフィード、足下へのパスは正確で、センターバックらしく危機察知能力が高く、空中戦にも強い。走力を活かした広い守備範囲でFWのスペースを消し去る。
・トッテナムではコンテ政権になってから、チャンスとみるや前方の広大なスペースを駆け上がって攻撃に参加するようになった。フィニッシュだけでなく、ボールを運んで相手を引きつけたり、マークのずれを生んだりと、3バックの一角に見事にハマった。
ネコ・ウィリアムズ (DF/ノッティンガム・フォレスト)
・“A=アーノルド2世”
・リバプールで育成された攻撃型SB。先輩であるA=アーノルドと同様に、抜群のキック精度を活かしたクロスやフィード、1対1が持ち味。
・大柄ではないが体幹の強さと積極性を持ち合わせており、プレミアリーグの屈強な選手相手にも簡単に球際の競り合いで負けることはない。
・経験とともに判断力や守備時のポジショニング、一つ一つのプレー精度を高めていけば、よりA=アーノルドの域に迫ることができるはずだ。
ブレナン・ジョンソン (FW/ノッティンガム・フォレスト)
・”ウェールズの逸材”
・昨季チャンピオンシップ(イングランド2部)で18ゴール・10アシストを記録した点取り屋。相手を置き去りにする圧倒的なスピードのドリブルで一気にゴールに迫る。フィニッシュワークも豪快。自ら点を取るだけでなく、味方のゴールもお膳立てできる万能型だ。
・ジャマイカにルーツを持ち、稀有な身体能力と持ち前のテクニックで攻撃的なポジションならどこでも起用できる。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
1 | ウェイン・ヘネシー | 35 | ノッティンガム・フォレスト | 104試合 | ・100キャップ越えのベテラン ・プレーオフでは9セーブを記録 |
12 | ダニー・ウォード | 29 | レスター | 26試合 | ・EURO2020では大会2位のセーブ数を記録 ・レスターでは5年間ベンチを温めるも、今季は守護神に |
21 | アダム・デイビス | 30 | シェフィールド・U | 3試合 | ・プロキャリア10年でトップリーグの経験は1度もない |
2 | クリス・ガンター | 33 | AFCウィンブルドン | 109試合 | ・歴代最多キャップのベテラン |
4 | ベン・デイビス | 29 | トッテナム | 74試合(1) | ・90分間戦い続けるメンタルと守備の安定感をコンテに評価されて昨季に覚醒 |
14 | コナー・ロバーツ | 27 | バーンリー | 39試合(3) | ・ロングスローを有する右SB |
5 | クリス・メファム | 25 | ボーンマス | 32試合 | ・大柄で接触プレーや空中戦に強い ・チェルシーユースの出身 |
6 | ジョー・ロドン | 25 | スタッド・レンヌ | 28試合 | ・打点の高いヘッドでクロスを跳ね返し、的確なパスでビルドアップを行う |
3 | ネコ・ウィリアムズ | 21 | ノッティンガム・フォレスト | 21試合(2) | ・6歳でリバプールのアカデミーに入団し、18歳でデビュー |
24 | ベン・カバンゴ | 22 | スワンジー | 4試合 | ・弟は将来有望のラグビー選手 |
17 | トム・ロッキャー | 28 | ルートン・タウン | 14試合 | ・カーディフ出身だが、16歳の時に上背がないことを理由に退団させられたCB ・ボール奪取力が魅力で、セットプレーでは得点源に |
6 | ジョー・ロドン | 25 | レンヌ | 30試合 | ・読みと粘着性の高い守備対応でボールを奪取し、足下のパス捌きも非凡な逸材 |
10 | アーロン・ラムジー | 31 | ニース | 75試合(20) | ・バイタルエリアでチャンスを生み出すオールラウンダー型MF |
7 | ジョー・アレン | 32 | スウォンジー・シティ | 72試合(2) | ・”ティキタカ”時代のスワンジーの中心選手 |
8 | ハリー・ウィルソン | 25 | フルアム | 39試合(5) | ・昨季チャンピオンシップで10G・20Aを記録してアシスト王に |
15 | イーサン・アンバドゥ | 22 | スペツィア | 36試合 | ・15歳でプロデビュー、17歳で代表デビューを果たした若武者 ・SB、CB、ボランチを難なくこなし、展開力の高さに定評がある |
16 | ジョー・モレル | 25 | ポーツマス | 28試合 | ・EURO2020は全試合に出場 |
23 | ディラン・レビット | 22 | ダンディー・U | 12試合 | ・生粋のパスマスター |
22 | ソルバ・トーマス | 23 | ハダースフィールド | 6試合 | ・独特のドリブルで縦に仕掛ければ、ワールドクラスの左足でアシストを量産する”飛び道具” |
25 | ルビン・コルウィル | 20 | カーディフ | 7試合 (1) | ・ボールを受ければ切れ味鋭いドリブルで持ち運び、局面を打開する |
11 | ギャレス・ベイル | 33 | ロサンゼルスFC | 106試合(40) | ・これまでの活躍で大英帝国勲章5等を受賞 |
20 | ダニエル・ジェイムズ | 25 | フルアム | 36試合(5) | ・昨年は出産に立ち会った後に、ヘリコプターで試合会場に |
13 | キーファー・ムーア | 30 | ボーンマス | 26試合(8) | ・空中戦は無類の強さを誇る ・6部からキャリアを始めた苦労人 |
9 | ブレナン・ジョンソン | 21 | ノッティンガム・フォレスト | 13試合(2) | ・21/22チャンピオンシップの若手年間MVP ・父親もフォレストでエースだった |
19 | マーク・ハリス | 23 | カーディフ | 5試合 | ・攻守に精力的なアタッカー |
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