【カタールW杯】スペイン代表(E組)【 チーム・選手・監督紹介&フォーメーション・戦術解説】

代表チーム

カタールW杯に出場する全32チームを紹介。

今回は、EURO2020はベスト4進出、ネーションズリーグ決勝ではフランス相手に好勝負を演じる一方、W杯・ヨーロッパ予選はスウェーデンを終盤で逆転しての出場権獲得。伝統のサッカーに最先端のスタイルが融合することで、強豪国と戦えるチームに変貌したものの、決定力を備えたタレントの不在に悩む、ヨーロッパ代表のグループE・スペイン代表」

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基本情報

出場回数16回目(12大会連続)
最高成績優勝
FIFA ランキング6位
首都マドリード
人口4708万人
監督ルイス・エンリケ
愛称ラ・ロハ(赤)

<直近6試合の成績>

6/6UNLチェコ2-2A
6/10UNLスイス0-1A
6/13UNLチェコ2-0H
9/25UNLスイス1-2H
9/28UNLポルトガル0-1A
11/18親善試合ヨルダン1-3A
概要

・ブスケツ、ジョルディ・アルバを生き残りにして、2010年代前半の”無敵艦隊”と呼ばれた黄金期を築いたメンバーが去り、世代交代に直面していたスペイン代表こと通称”ラ・ロハ”。「ベスト8に進出できれば上出来」という評価だったEURO2020ではベスト4進出を果たし、直後のネーションズリーグではEURO2020王者のイタリアを破って決勝に進出、敗れはしたがフランス相手に好ゲームを演じた。

それでも、W杯予選では残り2節の時点でグループ2位と、プレーオフに回るギリギリの所から逆転しての1位通過。6月のネーションズリーグではW杯予選から続く「格下チームへの苦手意識」「攻め込んでいる割に得点を奪えない」といった欠点を露出。カタールW杯の予想でも優勝候補のトップグループに入れず、国内の評価も「伏兵」止まり。

スペイン伝統の「ポゼッションサッカー」に、サッカー界に流行する「ボールをロストした直後の猛烈なプレス」が加わることで、常に試合を支配して敵陣で試合を進めるスタイルを確立。それにより、プレスを厭わない自己犠牲の精神スタミナを備えた選手が優先され、チアゴのようなテクニシャンタイプが敬遠される傾向もあり、戦えるチームではあるが、タレント不足でもある。

グループステージ日程【E組】
試合日日本時間対戦相手通算対戦成績
第1節11月23日25:00コスタリカ
(34位)
2勝1分0敗
第2節11月27日28:00ドイツ
(11位)
8勝8分9敗
第3節12月1日28:00日本
(24位)
1勝0分0敗

監督

2022 スペイン代表 アウェイ ユニフォーム レアルスポーツ

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基本フォーメーション・戦術

伝統と最先端のシステムが融合も ラスト30メートルの攻略が課題

<基本フォーメーション>

「積極的なプレス」「ショートカウンター」が、今のラ・ロハの特徴。

戦術コンセプトは、スペイン伝統のショートパス主体のボールポゼッションによって主導権を握り、組織的な連携とコンビネーションによってゴールに迫るスタイル。FW3人とインサイドハーフに、フィジカルよりも”テクニック””素早さ”を武器とする軽量級が並ぶのが特徴。

・「守備時」、「攻撃時」の概念は存在せず、攻⇔守のトランジションで説明できてしまう。激しい攻守の切り替えにおいて、運動量スキルで優位に立てるのがスペイン代表の強さ。


<攻撃時>

主な攻撃手段は「ショートカウンター」。ボールを奪い返し、持てる技術で相手のプレスをかわしている間に、ボールホルダーの周りの選手たちがスペースを探す。パサーは、”ドリブルでゴールに向かう””近くの選手とコンビネーションで崩す””サイドに預ける”の中から最適解を選択。行き詰まった場合はバックパス。

・独創的なパスよりも、”相手に囲まれた狭いスペースで攻撃を継続できる能力”が求められる。

・奪い返した状況のまま攻め切るため、攻撃フォーメーションは存在せず、ゴールまでの過程は「クロス➡シュート」とシンプルであり、攻撃の回数が多いほど敵陣でのボール奪取に成功している証。

・問題点は、”ラスト30mでの攻略”に手間取っていること。モラタ、サラビア、フェラン、ダニ・オルモといったアタッカー陣は、狭いスペースでのコンビネーションやオフ・ザ・ボールの動き、ビルドアップや崩しに関しては申し分ないが、”独力で局面を打開する突破力””得点力”の点では凡庸のレベルに留まる。

そのため圧倒的にボールを支配しながらゴールを奪えず、相手に数少ない決定機で失点を許し、好ましくない試合展開に陥るリスクを持つ。イタリア相手にボールを支配しながら勝ちきれなかったEURO2020の準決勝、フランスと互角に渡り合いながらもベンゼマ、エムバぺの個の力によって2点を奪われて敗れたネーションズリーグ決勝は、このチームの限界を象徴。


<守備時>

ボールをロストすると、複数人で激しいプレスをかける。ボールホルダーを2、3人で追い込むことでパスコースを完全に消し、ボールを失わざる終えない状況に追い込む。2人のインサイドハーフとFW3人が連携しての挟み込みが重要で、即座にボールホルダーへ駆けつけられるスタミナ強気な姿勢が必要。

守備とは激しいプレスによるボール奪取のことで、最終ラインをハーフウェーライン付近まで押し上げ、プレスを最適化するために【4-3-3】のコンパクトな陣形を保ち即時奪回をサポート。このネガティブ・トランジションの質の高さがスペイン代表の武器。

即時奪回できない場合は、持続的にプレッシャーを掛けながら段階的にリトリートする時間を稼ぎ、自陣での守備ブロック形成にスムーズに移行。組織的な守備がチームに浸透していて、的確なスペース管理で簡単にはシュートを打たせない。

・CBのE・ガルシア、ラポルト、パウは、ビルドアップ能力に長ける一方で、カウンターで最終ラインの裏のスペースを取られる局面では、スピード対人守備に難あり。

注目選手(8人)

ペドリ (MF/バルセロナ)

・”スペインの至宝”

・天才イニエスタに例えられる世代随一のタレント。繊細なボールタッチを活かして相手のプレッシャーをかわす技術、正確な長短のパスワークに加えて、ドリブルでの持ち上がりやそこからの仕掛け、アシストなど中盤だけでなくラスト30Mでも違いを作り出すクオリティーを持つ。

・優れたフィジカルを持ち、ピッチの状況を的確に把握し、ゴールから逆算して、しかも相手より1足早いタイミングで局面を前に進めるプレーを選択できる戦術的インテリジェンスの持ち主

・守備の局面では、プレーの流れを読んでパスコースに入りインターセプトする戦術眼に優れるだけでなく、攻撃➡守備の切り替えにおけるカウンタープレスも的確


ガビ (MF/バルセロナ)

・”ラ・マシア育ちのゴールデンルーキー”

・17歳でバルセロナのトップチームに抜擢され、レギュラーの一角を占める

・真骨頂は敵ライン間に潜り込んでパスを引き出し、力強いドリブルで密集を打破するプレーと、ボール奪取に奔走し、果敢に肉弾戦にも挑む闘争心

常に周囲の状況をスキャンし、マークを外して中間的な位置を取りつつ次のプレーを意識した身体の向きを整えるポジショニング、2タッチのボール捌きでシンプルかつ効果的にボールを動かすパスワークから、素早い攻守の切り替えでタイミング良く間合いを詰めるプレッシャーまで、デビュー当時のシャビに例えられるのも納得できるパフォーマンスを見せる。


セルヒオ・ブスケツ (MF/バルセロナ)

”ラ・ロハの司令塔”

足元の技術が恐ろしく高く、パスも正確。ワンタッチでのボール展開を得意とし、独特の間で攻撃を組み立てる世界屈指のアンカー。ここぞのいうタイミングで前線に入れる縦パス、精度の高いサイドチェンジは鳥肌もの。

スピードはなく、横スペースは相手にとって狙い目となるものの、精緻な技術と抜群の読みによって危険事前に回避する。


アルバロ・モラタ (FW/アトレティコ・マドリー)

”ラ・ロハが誇る万能ストライカー”

俊敏な動き出しにジェスチャーを交えてスルーパスを呼び込み、裏のスペースを突いて躊躇なく足を振り抜く。下がってパスを引き出すポストプレーで、周りの味方を活かすこともできる。

代表では、ポストプレーやプレスの先導役としてCFのレギュラーを務める。その影響か、メンタルが安定することでプレーに迷いがなくなり、22/23シーズン開幕からクラブで得点を量産。


ダニ・オルモ (FW/RBライプツィヒ)

”ペナルティエリアのサイボーグ”

パスワーク中心のスタイルであるスペイン代表において、チームにスピードをもたらす”潤滑油”高い戦術インテリジェンスを持ち、両サイドはもちろん”偽9番”としても起用できる万能型

・ライン間に潜り込んで巧みにパスを引き出し、ファイナルサードで違いを生み出す。ドリブルスキルが高いため自身で持ち込んでミドルシュートを打ち、ラストパサーとして味方のシュートチャンスも演出。

・バルセロナのカンテラ育ちだが、クロアチアのディナモ・ザグレブでプロデビューという異色の経歴を持つ。


セサル・アスピリクエタ (DF/チェルシー)

・”ラ・ロハの鉄人”

最終ラインならどこでも起用可能できるユーティリティープレイヤー

プレミアリーグ屈指の守備力を誇る。1対1では抜群の強さを誇り、ポジショニングのミスはほとんど見られない。近年はややスピードが衰えてきたことも指摘はされているが、天才的な先読みを活かして、サイドでの対人戦と中央のカバーをソツなくこなす。

・戦術理解度が高く、攻撃参加のタイミングや精度の高いクロスも魅力。


パウ・トーレス (DF/ビジャレアル)

・”人口5万人の街とクラブの誇り”

・191cmの高身長だが、そのサイズ感からすると異様なほどの快足の持ち主。空中戦の強さに、裏への抜け出しを許さないラ・リーガでも1,2を争うスピードを兼ね備えた完成されたCB。

スペイン産DFらしく秀でた足下の技術でビルドアップでも存在感を示し、状況を変える高精度のロングフィードも備える。

バルセロナやマンチェスター・ユナイテッドへの移籍が噂されたが、ビッククラブのオファーには耳を貸さず、地元のクラブに残留。


ウナイ・シモン (GK/アスレティック・ビルバオ)

・”鋼のメンタルの持ち主”

・武器は何と言ってもセービング能力。弛緩した状態から驚異的な反射神経で絶体絶命の場面を救い、またそれを最大限に生かすとするポジショニング、判断能力も魅力。加えて、カウンターの起点となる精密なロングフィードも高く評価されている。

・EURO2020ではバックパスをオウンゴールするも、「単なるミス」で済ませ、その後にファインセーブを連発。

選手一覧

<GK
No.名前年齢所属チーム代表成績(得点)
23ウナイ・シモン25アスレティック・ビルバオ25試合・足下の技術にも年々磨きがかかる
1ロベルト・サンチェス25ブライトン1試合・巨漢ながら反射神経が鋭く、クロス処理も安定
13ダビド・ラジャ27ブレントフォード
1試合
・卓越した足技を武器にイングランド5部から這い上がる
<DF>
18ジョルディ・アルバ33バルセロナ85試合(8)・攻撃と守備のギャップが大きくなり、バルセロナでは3番手に
2セサル・アスピリクエタ33チェルシー40試合(1)・バルセロナ移籍が噂されるもチェルシーに残留
4パウ・トーレス25ビジャレアル19試合(1)・足技と対人守備を磨けば、鬼に金棒
3エリック・ガルシア21バルセロナ17試合・パス能力はMF級も、守備のモロさが欠点
24エメリク・ラポルト28マンチェスター・C15試合(1)・強さ、高さ、スピード、足技の四拍子が揃うCBも、今シーズンはケガで出遅れる
15ウーゴ・ギジャモン22バレンシア3試合(1)・監督の求める足下テクニックを持つCB
・昨季にアンカーで起用されて一躍覚醒した
20ダニエル・カルバハル30レアル・マドリー29試合・豊富な運動量で、攻守に安定感をもたらし、CLでもハイパフォーマンスを披露
14アレックス・バルデ19バルセロナ0・陸上経験に裏打ちされた爆発的なスピードで、上下動を繰り返す快速SB
<MF>
5セルヒオ・ブスケツ34バルセロナ137試合(2)・2010年W杯制覇のメンバー
26ペドリ19バルセロナ12試合・肉体改造でさらに進化
9ガビ18バルセロナ10試合(1)・代表ではスペースへの飛び込みが光る
8コケ30アトレティコ・マドリー66試合・並外れたスタミナを持ち、走行距離は常に1位のタフガイ
16ロドリ26マンチェスター・C33試合(1)・マンチェスター・Cでは不可欠な存在で、フィジカルとスピードの面ではブスケツに勝る
6マルコス・ジョレンテ27アトレティコ・マドリー16試合・圧巻のスプリントとドリブルで、得点に絡むプレーが魅力
19カルロス・ソレ―ル25パリ・サンジェルマン9試合(3)・スキルと戦術眼に、2列目からの飛び出しを身に付け得点力が向上
<FW>
7アルバロ・モラタ30アトレティコ・マドリー56試合(26)・EURO2020ではチャンスを外しまくったが、もうその面影を見せることはないと期待
11フェラン・トーレス22バルセロナ28試合(13)・昨シーズンはチャンスを外すシーンが目立ち、決定力とプレー精度の向上が課題
21ダニ・オルモ24RBライプツィヒ24試合(4)・EURO、東京オリンピックで疲れをため込み、昨シーズンはケガに悩まされた
10マルコ・アセンシオ26レアル・マドリー28試合(1)・左足のシュートが最大の魅力
・移籍がささやかれるも残留を決断するが、試合に出してもらえずキレることも
22パプロ・サラビア30パリ・サンジェルマン22試合(9)・右サイドでのプレーを得意とし、ボールを受ければ、周囲を活かして、ゴールも決めるハイスペックなアタッカー
17ジェレミ・ピノ20ビジャレアル4試合(1)・強気で貪欲さに溢れ、遊び心も兼ね備えるスーパーサブで、出場すれば何かを起こす
25 アンス・ファティ20バルセロナ4試合(1)・ドリブルとフェイントでDFを翻弄し、メッシを彷彿とさせる天性のシュート力でゴールを決める神童
13ニコ・ウィリアムス20アスレティック・ビルバオ2試合・9月のスイス戦で代表デビューを飾ると出場した2試合で存在感を示した期待の星
・持ち前のスピードで前線をかき回し、得点力も向上中

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