【カタールW杯】クロアチア代表(F組)【 チーム・選手・監督紹介&フォーメーション・戦術解説】

代表チーム

カタールW杯に出場する全32チームを紹介。

今回は、前回大会のロシアW杯では快進撃を続けて”準優勝”を成し遂げたレギュラー陣の高齢化という問題に直面しながらも、着実に世代交代を進め、9月のネーションズリーグではベスト4進出と勢いに乗る、ヨーロッパ代表のグループF・クロアチア代表」

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基本情報

出場回数6回目(3大会連続)
最高成績準優勝
FIFA ランキング15位
首都ザブレグ
人口407万人
監督ズラトコ・ダリッチ
愛称バトレニ(炎)

<直近6試合の成績>

6/7UNLフランス1-1H
6/11UNLデンマーク0-1A
6/14UNLフランス0-1A
9/23UNLデンマーク2-1H
9/26UNLオーストリア1-3A
11/17親善試合サウジアラビア0-1A
概要

クロアチア人史上初のバロンドーラーであるモドリッチへの依存が色濃く、ラウンド16で敗退したEUROから丸1年。それまでロシアW杯の準優勝メンバーを寵愛してきたダリッチ監督は、レビッチやブルサリコの内乱をターニングポイントに方針を転換。国民が求めるような世代交代を促進し、W杯・ヨーロッパ予選ではロシアとの天王山を制してカタールW杯出場を決めた。

・ソサやマイェルといった次世代を担う選手たちが頭角を現し、スタニシッチやスチッチといった移民組の懐柔にも成功。6月のネーションズリーグでは代表デビューのエルリッチとシュタロのCBコンビがデンマークとフランスを相手に無失点に抑え、不安要素であったDFラインは過去の話になりつつある。

「メンバー全員が自分自身を信じるべき。もっと強くなれると理解すべき」と何度も繰り返し伝えるモドリッチの”訴え”が若い選手たちにも浸透。ロシアW杯の準優勝メンバーであるマンジュキッチのような仕事人は存在しないが、そんな彼が新たにコーチに就任。直前のネーションズリーグではフランス、デンマークといった強豪に競り勝ちベスト4進出を果たすなど絶好調なだけに、カタールの地でも再び旋風を巻き起こせるはずだ。

グループステージ日程【F組】
試合日日本時間対戦相手通算対戦成績
第1節11月23日19:00モロッコ
(22位)
0勝1分0敗
第2節11月27日25:00カナダ
(43位)
0勝0分0敗
第3節12月1日24:00ベルギー
(2位)
3勝2分3敗

監督

名前ズラトコ・ダリッチ
生年月日1966.10.26(56)
国籍クロアチア
就任2017.10月

戦術眼やカリスマ性には欠けるものの、愛国心と人心掌握術を駆使してチームをまとめ上げ、近年ではW杯決勝、ネイションズリーグ4強進出に導

・コーチ陣をレジェンドで固め、キャプテンであるモドリッチらベテランの意見を聞き入れる対話型の監督

・敵対するファン、メディアには意固地になり、それが帰って世代交代の遅れの原因にも。

・必殺技は”逆切れ”

・代表監督に就任する前は中東クラブでの指揮官を歴任し、アルアインでは2016アジアチャンピオンズリーグ準優勝に導く。

基本フォーメーション・戦術

黄金の中盤と若きDF陣で主導権を握り カタールの地で再び大躍進を見せる

<基本フォーメーション>

準優勝したロシア大会と同様、モドリッチやブロゾビッチが健在の中盤は世界トップクラスで憂いなし。EURO2020のクロアチアといえば、攻撃の組み立てからフィニッシュまでをバロンドーラーに頼り切った「戦術モドリッチ」が基本だった。

・同世代の戦友たちが次々と代表を引退していく中、歳を重ねるたびにプレーの成熟度が増していくモドリッチはもはや”超人”だが、カタールW杯開幕時には37歳。モドリッチの負担を軽減することが喫緊の課題だ。

・カタールW杯はモドリッチにとって最後のビックトーナメントになる可能性が高い。悔いなく後輩たちに引導を譲るためにも、粉骨砕身の気持ちで挑むことになるだろう。


<攻撃時>

チーム最大の強みは中盤のクオリティー。ブロゾビッチの進化とコバチッチの成長により、モドリッチと形成する中盤トライアングルはもはや世界一と言っても過言でない。相手のプレスを剥がして長短自在のパスを操る点は似通っているが、コンビネーションの成熟でモドリッチのタスク分散化。各々の個性を活かしつつ、ポジションチェンジも頻繁に行われる。

・不安を残すのがFW陣。左ウイングはペリシッチが鉄板。EUROでは適役がいなかった右ウインガーは天才肌のマイェル、フィジカル系のパシャリッチの代用で目途がつ

・残るはCF。6月の試合ではコロナ感染でリバヤとムサが欠場したため、ブディミルとクラマリッチを使い回すも結果を残すことができず。ラストピースの確定は開幕直前まで試行錯誤が続くだろう。


<守備時>

・世代交代が最も進むのが最終ライン。衰えの激しいロブレンやビダに取って代わり、CBの軸に据えられたのが成長著しいグバルディオル。左足から高精度の縦パスを次々通し、スキを見ては前線に飛び出す大胆不敵な20歳。

・チャレタ・ツァルとポングラチッチがもたつく一方、6月のネーションリーグでエルリッチとシュタロがデビュー。両者ともビルドアップを苦にせず、フランス相手に何度もカウンターの起点になった。

・両SBにもユラノビッチやソサ、スタニシッチのようにパスワークに優れた駒が揃っており、ピッチ上の「監督モドリッチ」の匙加減で速攻・遅攻の使い分けが可能。

注目選手(7人)

ルカ・モドリッチ (MF/レアル・マドリー)

・”クロアチアの英雄”

・衰え知らずの”超人ミットフィルダー銀河系軍団の一員として、チャンピオンズリーグ3連覇など数多くのタイトル獲得に貢献してきた。W杯で準優勝した2018年には、メッシやロナウドを抑えてバロンドールも受賞した。

・スピードを除いて、テクニック・パス・ドリブル・サッカーIQ・運動量などサッカー選手に求められる一通りの能力を高水準で揃える、世界屈指の司令塔。ビルドアップの案内役として的確にパスを散らすとともに、秀逸なオフ・ザ・ボール動きで広い範囲を駆け回り、フィニッシュに誘う。

ここ一番で炸裂するミドルシュートやアウトサイドのパスで、チームの窮地を救うなど、試合の終盤になっても攻守に渡って存在感を失うことはない。

・36歳となった現在もマドリーでバリバリ主力を張り、昨シーズンはラ・リーガとCLの制覇に貢献した。キャプテンとしての強靭なリーダーシップで、プレーだけでなくピッチ内外の立ち振る舞いでもチームを先導する。まだまだ若手にポジションを譲る気配を感じさせてない。引退など永遠に訪れないのではないか。


マルセロ・ブロゾビッチ (MF/インテル)

・”クロアチアの鉄人”

・2シーズン連続で平均走行距離トップを記録し、セリエA最優秀MFに輝いた”レジスタ”。高い成功率を誇る長短のパスを両足で遜色なく使い分け、中盤の底から攻撃を組み立てる。時には、ロングレンジから強烈なミドルシュートをゴールネットに突き刺す。

無尽蔵のスタミナの持ち、90分を通して広いエリアをカバーする。リスク管理者として的確なポジショニングでスピードを補い、巧みなスライディングとタックスを活かしたボール奪取能力は達人の域。敵に囲まれたとしても華麗なボールコントロールで回避し、奪われることは滅多にない。


イバン・ペリシッチ (FW/トッテナム)

・”左サイドの切り込み隊長”

33歳でも衰え知らずのサイドアタッカー。豊富な運動量を活かして、左サイドで絶えずアップダウンを繰り返す。緩急あるドリブルで1対1を突破すれば、左右両足からの正確なクロスで決定機を演出する。

ロシアW杯では準決勝と決勝でゴールを決めるなど、大舞台でも真価を発揮する。攻守の両面でハードワークを惜しまない所も魅力。


マテオ・コバチッチ(MF/チェルシー)

・”モドリッチの後継者”

中盤で複数人に囲まれても難なく縦へのドリブルで突破する”プレスブレイカー”。基礎的なスキルのレベルが高く、展開力やチャンスメイク力も備える。抜群の推進力を活かした個人技で局面を打開し、ゴールに直結するスルーパスは脅威そのもの。

ハードワーカーとしての守備意識も強く、90分通して持続するスプリント力と大胆なディフェンスで相手を積極的に潰しにかかる。ボールを回収すれば即座に攻撃にスイッチするなど、攻守に躍動。


マリオ・パシャリッチ (MF/アタランタ)

”モダンな仕事人”

・神出鬼没にゴール前に現れ、泥臭いゴールを決める攻撃的マルチロール。シャドーストライカーとして2列目では崩しのクオリティーを高め、独特のプレースタイルでゴールへと迫る。

ボランチとしてもプレーでき、中盤ではシンプルにパスを組み立てたのち、絶妙なタイミングで前線に入りこみシュートを狙う。ヘディングシュートも強力。


ボルナ・ソサ (DF/シュツットガルト)

・”左利きのベッカム”

・左足から放たれる高精度のパスが魅力のブンデス・リーガ屈指の左SB。特に高い位置からのクロスは目を見張り、インフロントとインステップを使い分けコースを絶妙に突く。ダイナミックなドリブルで左サイドを突き破り、洗練された左足でFWのヘディングをお膳立てする

・ビルドアップでの貢献度も高く、外側のレーンとハーフスペースをタイミング良く行き来してパスを引き出し、的確にボールを捌く。


ヨシュコ・グバルディオル (DF/RBライプツィヒ)

・”クロアチアの大器”

・20歳にして現代のDFに求められる能力を高いレベルで備え、メガクラブが熱視線を送る万能型CB。爆発力と判断力で広範囲をカバーし、巧みなタックルを活かした対人戦も素晴らしい。

・昨季ライプツィヒで一気にブレイク。チーム2位となる47回のタックル成功数、チーム1位となる51回のインターセプト数を記録するなど、20歳の若さでブンデスリーガに適応してみせた。クロアチアの次代を担うディフェンスリーダーなのは間違いない。

攻撃力も兼ね備え、レフティーながら右足も器用に使うビルドアップは長短でハイクオリティー。

選手一覧

<GK
No.名前年齢所属チーム代表成績(得点)
1ドミニク・リバコビッチ27ディナモ・ザグレブ31試合・抜群の反応スピードを誇り、冷静さと闘争心を併せ持つ守護神。
23イビツァ・イブシッチ27オシエク5試合・ネーションズリーグではフランスを零封
12イボ・グルビッチ26アトレティコ・マドリー2試合・巨漢を活かしたハイボール処理は絶対的な強さを誇る
・昨季は武者修行先のリールで失速
<DF>
20ヨシュコ・グバルディオル20RBライプツィヒ10試合(1)・チェルシー移籍の噂を封印し、27年まで契約を延長
22ヨシップ・ユラノビッチ27セルティック20試合・アマチュア選手からA代表レギュラーにまで上り詰めた苦労人
19ボルナ・ソサ24シュツットガルト6試合・昨季は所属チーム1位の8アシストをマーク
5マルティン・エルリッチ24サッスオーロ3試合・昨季スペツィアの主軸として残留に貢献
・空中戦の強さ、的確なポジショニングでピンチの芽を摘む屈強なCB
2ヨシップ・シュタロ22ディナモ・ザグレブ2試合・対人戦に強く、展開力にも優れたCB
・6月の代表デビューで実力をアピール
6デヤン・ロブレン33ゼニト70試合(4)・9月のオーストリア戦では、ダメ押しの3点目を決める
21ドマゴイ・ビダ33アテネFC98試合(4)・ベンチも厭わないベテランCB
3ボルナ・パリシッチ30レンジャース26試合(1)・高精度のクロスが売り
・父は大物マフィア
24ヨシップ・スタニシッチ22バイエルン5試合・両足ともにボールコントロールが巧みで両サイドをこなすSB
<MF>
10ルカ・モドリッチ37レアル・マドリー152試合(22)・若手の突き上げもアンチエイジングの栄養素
8マテオ・コバチッチ28チェルシー81試合(3)・ゴール、アシストが少ないと批判を受ける
11マルセロ・ブロゾビッチ30インテル74試合(7)・昨季のセリエA最優秀MF
15マリオ・パシャリッチ27アタランタ40試合(7)・昨季は13ゴールと得点を量産
7ロブロ・マイェル24レンヌ8試合(2)・モドリッチ2世
・昨年夏にレンヌへ移籍すると、リーグアン1年目から29試合に出場して6得点8アシストを記録するなど活躍。クロアチア代表にも定着した
・リーグアンのべスト11に選出された
13ニコラ・ブラシッチ25トリノ39試合(7)・ウェストハムでは不完全燃焼も、CSKAモスクワ時代に2季連続2桁ゴールを記録した攻撃力を誇る
25ルカ・スチッチ20ザルツブルク3試合・高いボールキープ力、決定的なスルーパスでチャンスを創る大器のレフティー
・憧れであるモドリッチのようなエレガントさが魅力
26クリスティアン・ヤキッチ25フランクフルト4試合・バイタルエリアへの侵入を許さない武闘派ハンター
<FW>
4イバン・ペリシッチ33トッテナム113試合(32)・恩師のコンテに誘われてプレミア初挑戦
9アンドレイ・クラマリッチ31ホッフェンハイム73試合(19)・ホッフェンハイムの絶対的エース。
・シュート、パス、ドリブルの三拍子揃ったストライカー
17アンテ・ブディミル31オサスナ14試合(1)・身体能力が高く、どんな姿勢からでもシュートを狙う巨漢FW
・プレスも怠らず献身性が高い
18ミスラフ・オルシッチ29ディナモ・ザグレブ19試合(1)・左サイドのカットインから繰り出す右足の強烈なシュートで相手を沈めるウインガー
14マリコ・リバヤ29ハイデュク・スプリト13試合(2)・クラブでは神のように崇められる悪童ストライカー
16ブルーノ・ペトコビッチ28ディナモ・ザグレブ22試合(6)・豪快なフィニッシュワークに繊細なテクニックを持ち合わせる巨漢FW
・トップ下でも起用でき、アシスト能力が高い

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