【カタールW杯】ベルギー代表(F組)【 チーム・選手・監督紹介&フォーメーション・戦術解説】

代表チーム

カタールW杯に出場する全32チームを紹介。

今回は、「黄金世代」と言われるスター選手たちを揃え、4年に渡ってFIFAランキング1位の座に君臨しながらも、ビックタイトルを掴めずに、主力選手の高齢化が進む、ヨーロッパ代表のグループF・ベルギー代表」

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基本情報

出場回数14回目(3大会連続)
最高成績3位
FIFA ランキング2位
首都ブリュッセル
人口1149万3千人
監督ロベルト・マルティネス
愛称ディアブル・ルージュ
(赤い悪魔)

<直近6試合の成績>

6/12UNLウェールズ1-1A
6/15UNLポーランド0-1A
9/23UNLウェールズ2-1H
9/26UNLオランダ1-0A
11/15親善試合イラク中止N
11/19親善試合エジプト1-2N
概要

・ロシアW杯では3位に輝き、FIFAランキングでも4年に渡って1位に君臨(22年3月31日まで)してきた、「赤い悪魔」の異名で知られるベルギー代表。とりわけ攻撃陣のクオリティーに関して言えば、世界の列強国に肩を並べるほどで、世界の頂点を狙えるレベルにある。

それを支えてきたのが「黄金世代」と呼ばれるスター選手たちで、GKのクルトワはCL制覇、デ・ブルイネはプレミアリーグ優勝の立役者となり、いまなお欧州のトップレベルで健在ぶりを示している。一方で、世代交代を促す若手の起用に消極的なこともあり、現チームのスタメンはロシアW杯とほとんど変わらず、「黄金世代」を引っ張れるだけ引っ張って体制を維持してきたのが、今のチームの現状だ。

ビックタイトルの獲得がなく、世代交代は思うように進まず、戦術のバリエーションは乏しいなど、指揮官に対する非難は多く、国内でも優勝を目指すムードは高まっていない。しかしながら、デ・ケテラーレやオペンダ、オナナら新世代が戦力を底上げし、持てる戦力のクオリティーを最大限に発揮できれば、”ベスト8,ベスト4止まり”といったこれまでの壁を突破できるだけのポテンシャルを備えている。

グループステージ日程【F組】
試合日日本時間対戦相手通算対戦成績
第1節11月23日28:00カナダ
(43位)
0勝0分1敗
第2節11月27日22:00モロッコ
(22位)
2勝0分1敗
第3節12月1日24:00クロアチア
(15位)
3勝2分3敗

監督

名前ロベルト・マルティネス
生年月日1973.7.13(49)
国籍スペイン
就任2016.8月

温厚な性格の戦略家

・就任してから6年の間に、ロシアW杯ではベルギー歴代最高成績の3位に導き、ベルギー代表監督として最も多くの勝利を記録。

・2012/13シーズン、ウィガン・アスレティックを指揮し、決勝でマンチェスター・Cを破ってFAカップを制覇。

・ヨハン・クライフの哲学に影響を受けている。

基本フォーメーション・戦術

前線3人の破壊力は抜群も 後方の負担と攻➡守の切り替えに課題

<基本フォーメーション>

4年にも渡りFIFAランキングのTOPに君臨してきたにも関わらず、ビックタイトルはおろか、ファイナリストにもなれていない原因として、「前線のタレントとチーム戦術の間のミスマッチ」が上げられる。

 具体的には、ネガティブトランジション(攻➡守の切り替え)の局面で、前線の3人が前に残ってしまうことで、中盤がウィルツとティーレマンスの2人だけになってしまい、中央で数的不利を形成され、チーム全体が下がざるおえなくなり、FW陣の破壊力をポジティブトランジション(守➡攻)で最大限に活かすチャンスを自ら無駄にしている点だ。

・6月のオランダ戦では、連携が十分に取れず、簡単に裏を取られて4失点を喫するなど守備の不安定さも露呈した。

こうした問題の解決にためにも、ルカクを擁したコンテ時代のインテルのように、後方からのビルドアップとボール保持によるゲーム支配を辞め、チームの重心を下げて守備を安定させ、攻撃の軸足をポジティブ・トランジションに移して前方のスペースを活用するシステムが有効だと思われる。


<攻撃時>

・CFルカクを絶対的な基準点として、世界最強MFのデ・ブルイネとE・アザールをシャドーに配置するのが”チームの華”。縦に速い攻撃を展開し、ワールドクラスの個性を活かして、個でもコンビネーションでも崩すことが可能。

・デ・ブルイネが前方にスペースを見出してドリブルで持ち上がり、的確なプレーを選択ルカクが相手のDFを背負ってロングボールを収める基準点になるだけでなく、オープンスペースへの飛び出しで圧倒的なフィジカルを活かしてフィニッシュに絡む。そこに、両WBが絡むことでファイナルサードでの攻撃に厚みが増す。

フィジカルとスピードで勝負できるムニエ、ウインガーのような突破力を誇るカラスコ、サイドから攻撃の起点となり守備でも献身的なT・アザール、左右どちらでも難なくできるカスターニュなど多種多様なWBが揃う。

相手に引かれた場面では持ち味を発揮することができないのが弱点。


<守備時>

ウィルツが最終ラインの前に位置することで、ボールロスト時のリスクに備える。

・押しこまれる場面では、5バックとMF2人で対応。3バックと2セントラルMFで中央を固めて、敵の攻撃をなんとかして跳ね返す。

問題点として、最終ラインを上げた際に、ハイラインの背後を不安なくケアできるクオリティーがDFとGKに備わっていないことが上げられる。アルデルワイレルト、ヴェルトンゲンといったスピードのないCBでは、ビルドアップ時には安定感を保証するが、ネガティブ・トランジションの際には簡単に裏を取られて失点してしまうリスクを背負わなければならない。

注目選手(8人)

ケビン・デ・ブルイネ (MF/マンチェスター・C)

・”赤い悪魔の羅針盤”

・ドリブル、パス、シュート、すべてが一級品の”現代最高の攻撃的MF”。爆発的な走力、スタミナ、高い献身性など、フットボーラーに求められる能力を高いレベルで兼ね備える。高い戦術理解力も兼ね備え、テクニカルかつ推進力のあるドリブル突破を見せることも。アタッキングサードでは、両足から相手守備陣のスペースを突いた決定機に繋がる高精度のパスを繰り出す。

・右足のキックの破壊力と精度も年々向上しており、右サイドからのクロスで多くのゴールを演出する。強烈なミドルシュートや、ボックス内に飛び込んでのゴールも得意。

昨シーズンは、キャリアハイの公式戦19ゴールを記録。


ロメル・ルカク (FW/インテル)

・”ベルギーのフィジカル・モンスター”

・天下無双の爆発的なロングスプリントに加えて、密集したゴール前でも存在感を発揮する万能アタッカー。野獣のようなフィジカルと身体能力を活かした豪快なフィニッシュワークで、10代の頃からトップレベルで得点を量産してきた。

・イタリアの地で、前線のターゲット役としてCBを背負って足元にボールを収めるポストワークを身に付け、CFとしてより完成度を高めた。加えて、サイドのスペースを見つけての飛び出しとカウンターにも磨きをかけるなど、攻撃のいかなる局面でもより機能できるようになった。

・21/22シーズンは古巣のチェルシーに移籍するもうまく順応できず、インテルでの居心地の良さが忘れられないことも相まって、今シーズンからレンタルで復帰。


エデン・アザール (FW/レアル・マドリー)

・”復活が待たれる比類なきセンスの塊”

・チェルシー時代は左ウイングで輝きを放ち、左サイドでのカットインからフィニッシュに持ち込むプレーを最も得意としており、低い重心から繰り出されるドリブルはわかっていても止めることができないほどのキレ味。

ゲームメイクやパスのクオリティーも依然として高く、アタッカーとして必要な能力を高いレベルで備える。

・レアル・マドリーでは、ベンゼマの控えとして”偽9番”での起用も視野に復活が期待される。今シーズンが正念場。


ティボ・クルトワ  (GK/レアル・マドリー)

”現役世界最高のGK”

神がかった反射神経と199cmの長身と長い手足でゴール前に立ちはだかる守護神。特に印象的なのは、横っ飛びしてのダイナミックセーブ。セービング不能に見えるシュートをしっかりと弾き出し、1対1でも高い勝率を誇るなど、ゴールを守ることに関しては、一切の欠点を持たない。

・キャッチング能力も高いだけに、セットプレー時やクロス対応などのハイボール処理でも強さを誇る。

・昨シーズンは、涼しい顔でビックセーブを連発。レアル・マドリーのラ・リーガとCLの2冠制覇に貢献した。


ユーリ・ティーレマンス (MF/レスター)

”攻守のキーマン”

中盤セントラルを本職とする攻守に輝ける選手であり、プレミアリーグ上陸以降はバランス感覚が増し、守備で安定感をもたらせるようになった。

・最大の魅力は攻撃面。視野の広さと鋭いキックで攻撃にリズムをもたらす。長短のパスを散らしてビルドアップに絡みつつ、ファイナルサードで相手の脅威となる。ミドルシュートも得意としており、プレミアリーグでも強烈なシュートでしばしばゴールを奪う。

・今シーズンはアーセナル、マンチェスター・Uへの移籍の噂が絶えなかったが、交渉がまとまらずに残留を決意。


ヤニック・カラスコ (MF/アトレティコ・マドリー)

”左サイドの切り込み隊長”

・特徴に挙げられるのが、際立った”突破力”。爆発的なスピードを有し、ドリブルでの仕掛けが得意。左サイドから中央にカットインするのが十八番。

昨シーズンは、ヴィニシウスに次ぐドリブル成功数を記録。シメオネの下で守備対応でも磨きをかける。


レアンドロ・トロサール (FW/ブライトン)

・”技巧派ドリブラー”

・昨シーズン、左WBとして新境地を開拓し、チーム最多の8ゴールを記録今季はリバプール相手にハットトリックを達成

・緩急と巧みなボールコントロールを駆使したドリブルで敵陣に切り込み、周囲を巧みに使い分けながら、ゴールとアシストに絡む。相手に囲まれても華麗なルーレットで脱出し、ハードワークでも貢献。


シャルル・デ・ケテラーレ (MF/ミラン)

・”赤い貴公子”

”デ・ブルイネの後継者”と目され、鋭い洞察力と左足の技術で、自ら個人技でシュートに持ち込み、正確なラストパスで味方も活かすことできるレフティーの天才肌。

・190cmを超える長身とエレガントな身のこなしを備え、繊細なタッチと的確な状況判断に基づく長短のパス、相手に囲まれても苦にしないボールスキルと突破力は、カカを彷彿とさせる。

長いラブコールの末、ミランに移籍。

選手一覧

<GK
No.名前年齢所属チーム代表成績(得点)
1ティボ・クルトワ30レアル・マドリード94試合・6月にイビサ島でプロポーズに成功
12シモン・ミニョレ34クラブ・ブルッヘ35試合・かつてはプレミアリーグで活躍し、至近距離シュート・PKストップの精度は健在
13クーン・カステールス30ボルフスブルグ4試合・ブンデスリーガは8シーズン目で、ベルギー人最多の出場記録を誇る
<DF>
5ヤン・フェルトンゲン35アンデルレヒト139試合(9)・修正能力が高いCBで、ビルドアップでの貢献度が高い
・歴代代表キャップ数1位
2トビー・アルデルワイレルト33ロイヤル・アントワープ121試合(5)・熟練の守備対応と美しい軌道のパスが持ち味
15トーマス・ムニエ31ドルトムント56試合(8)・長身を活かした空中戦に強く、豊富な運動量で右サイドを攻略する
19レアンデル・デンドンカ―27アストン・ビラ29試合(1)・フィジカルを活かした堅実な守備に得点力も備える
21ティモシー・カスターニュ26レスター24試合(2)・攻撃性能を備え、両SB兼WBをこなす万能型
3アルトゥール・テアト22レンヌ3試合・セリエAで実力を証明した伸び盛りのCB
・アブレッシブナな守備とロングフィードが武器
4ワウト・ファース24レスター1試合・移籍市場最終日に1700万€でレスターに移籍
・未来のDFリーダー
26ゼノ・デバスト19アンデルレヒト2試合・ベルギーが誇るCBの大器
・恵まれたフィジカルを活かした守備と足下技術の高さが売り
<MF>
6アクセル・ヴィツェル33アトレティコ・マドリー124試合(12)・クラブではリベロとして、ピンチの芽を摘み、気の利いたパスを配給
7ケビン・デ・ブルイネ31マンチェスター・C91試合(24)・「KDPカップ」というビッククラブのU-15を集めた大会を主催
11ヤニック・カラスコ29アトレティコ・マドリー57試合(8)・妻はモデル
8ユーリ・ティーレマンス25レスター45試合(9)・未来の主将で、ベビーフェイス
16トルガン・アザール29ドルトムント45試合(9)・滑らかなドリブルと献身的な守備が魅力
・市場価値で兄(エデン・アザール)を上回る
20ハンス・ファンアーケン30クラブ・ブルッヘ21試合(5)・昨シーズにはCLでマンチェスター・CとPSG相手にゴールを奪う
22シャルル・デ・ケテラーレ21ミラン8試合(1)・少年時代からC・ロナウドが目標
18アマドゥ・オナナ21エバートン1試合・恵まれたフィジカルとボール奪取力が魅力
<FW>
10エデン・アザール31レアル・マドリード120試合(33)・足首のプレートを除去、夏には厳しい鍛錬を積み、チェルシー時代の輝きを取り戻すことを誓う
・6月の代表戦は全4試合に出場
14ドリース・メルテンス35ガラタサライ105試合(21)・前線を動き回り、ゴール・アシストをお膳立てする熟練FW
9ロメル・ルカク29インテル102試合(68)・代表最多ゴール記録を更新中
23ミヒー・バチュアイ29フェネルバフチェ45試合(25)・クラブでは流浪の民ながら、代表ではコンスタントに結果を残す
17レアンドロ・トロサール27ブライトン19試合(5)・ポスト・アザール
24ロイス・オベンダ22RCランス3試合(1)・昨シーズンにオランダで17得点と覚醒し、一躍代表デビューした快速ウイング
25ジェレミー・ドク20レンヌ10試合(2)・EUROで一躍脚光を浴びた高速ドリブラー
・一瞬にしてトップスピードに到達する加速力の反動か、筋肉系のケガに苦しんでいる

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