カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、屈辱の予選敗退に終わった前回大会から大きく陣容を一新し、10~20代前半のタレントを多く揃える、北中米カリブ海代表のグループB・「アメリカ代表」。
基本情報
出場回数 | 11回目 |
最高成績 | 3位 |
FIFA ランキング | 14位 |
首都 | ワシントン・DC |
人口 | 3億3200万人 |
監督 | グレッグ・バーハルター |
愛称 | スターズ&ストライブス |
<直近6試合の成績>
6/2 | 親善試合 | モロッコ | 〇 | 3-0 | H |
6/6 | 親善試合 | ウルグアイ | △ | 0-0 | H |
6/11 | CNL | グレナダ | 〇 | 5-0 | H |
6/15 | CNL | エルサルバドル | △ | 1-1 | A |
9/23 | 親善試合 | 日本 | ● | 2-0 | N |
9/28 | 親善試合 | サウジアラビア | △ | 0-0 | A |
・前回大会のロシアW杯では、8大会ぶりの中南米カリブ海予選敗退。そんな屈辱を味わったチームの再建を任されたバーハルター監督は就任直後から、これまで代表を支えてきた功労者を招集外にする思い切った改革を実行。20代前半のプリシッチが主将を務め、アーロンソン、ムサなどヨーロッパのクラブで活躍する有望な若手選手が多く揃う。
・大きく生まれ変わったアメリカ代表は、昨年のCONCACAFゴールドカップで2大会ぶりの優勝、最終予選も無事に突破し、大きな自信を選手たちは掴んだとともに、カタールW杯に対する国民の期待も高まっている。
・アメリカは2026年W杯の開催国であるだけに、ピークを迎えるタイミングは今大会ではないが、若く伸びしろがあるチームが勢いに乗れば、2002年日韓W杯以来のベスト8進出を目指せるだけのポテンシャルを十分に秘めている。
監督
名前 | グレッグ・バーハルター |
生年月日 | 1973.8.1(49) |
国籍 | アメリカ |
就任 | 2018.12月 |
・就任直後から大鉈を振るい、チームの若返りに着手しながら、CONCACAFゴールドカップ優勝、W杯出場と結果を残す。
・現役時代はCBで、アメリカ代表として44試合に出場。オランダ、イングランド、ドイツなどで長く渡り歩いてプレー。
基本フォーメーション・戦術
「No Risk,No Return」の精神と戦術で 若き才能の集まりが躍動
<基本フォーメーション>

・欧州でプレーする10代~20代前半のタレントを多く揃え、4年目のバーハルター監督の戦術もすっかり浸透しており、上位進出を目指せる充実ぶり。
・攻守のカギを握るのがプリシッチとアダムスで、前者は優れた個の打開力でチャンスを創る。
・就任当初は3バックなど多種多様なシステムを用いていたが、2020年からは一貫して【4-3-3】を採用。メンバーの中にはプリシッチやアーロンソン、レイナなどドイツでプレイした経験を持つ選手が多く、戦術もドイツに近いものとなっている。
<攻撃時>

・ヨーロッパで活躍する選手が多いだけに、現代的なスタイルのビルドアップを展開する。GKとDF、アンカーでパス交換をしながらボールを前に運び、相手のサイドにスペースが生まれた瞬間、前線に揃うスピードスターのタレントが一気にスピードを上げて、ビックチャンスを作り出す。
・相手がプレスを掛けに来ることでスキが生じれば、ロングボールと両ウイングを走らせることで、相手の背後を取る選択肢も。
・攻撃のカギを握るのがプリシッチで、左ウイングであるが、中へ入ってポジションを取り、空いた左サイドのスペースを、左SBとインサイドハーフの選手が利用して数的優位を作り出す。
・相手が引いて守備をする場合は、アンカーの選手も積極的に駆け上がる攻撃的なサッカーは、大きなリスクを背負うが、「No Risk, No Return」の精神で攻めの姿勢を貫く。
<守備時>

・「ハイプレス」が基本戦術で、敵陣奥深くまでアグレッシブなプレスを展開する。最終ラインもプレスに連動して高い位置を取り、複数の選手で素早くボールを刈り取りカウンターにつなげる。
・DFと中盤の距離感をコンパクトに保ちつつ、ゾーン守備を敷き、プリシッチらが前線に残ることで、カウンターを狙う。
・弱点としては、プレスをかわされたあとの対応で、マークを外された後の受け渡しに問題があり、バイタルエリアで相手をフリーにしてしまうことが上げられる。さらに「ハイプレス」の宿命として、時間が経過するにつれて体力がなくなり、チーム全体の締まりが無くなってしまうことで、相手に易々とボールを運ばれてしまうシーンが目立つことが上げられる。
注目選手(6人)
クリスティアン・プリシッチ (FW/チェルシー)
・”キャプテン・アメリカ”
・アメリカ・サッカーの最高傑作。両サイドでプレーでき、軽量級ながら鋭いドリブルとスピードで守備陣を切り崩すウインガー。
・決定力も兼ね備え、裏抜けからのワンタッチシュートを得意とする。味方とのコンビネーションでゴール前のスペースを突くオフ・ザ・ボールの動きも秀逸。
・23歳にしてA代表のキャプテンを務める。
ウェストン・マッケニー (MF/ユベントス)
・”USAのダイナモ”
・中盤の全てのポジションで起用できるユーティリティープレイヤーで、無尽蔵のスタミナで90分間ピッチを駆け回るボックストゥボックスタイプ。猛烈なプレスでボール奪取を狙う。
・圧倒的な走力でボールを前に運ぶ推進力とパスセンスを活かして攻撃面で違いを創り出し、得点力も備える。
タイラー・アダムス (MF/リーズ)
・”攻守の要”
・守備的MFとして対人守備に定評があり、中盤で相手に体を寄せてボールを奪うといったスタイルを得意とする。ボールを奪う時は速いスピードで相手に詰め寄り、ドリブルの方向を奪って、ボールを回収するプレーを得意とし、中盤のフィルター役として活躍。
・12歳からレッドブル・アカデミーに通い、その後はRBライプツィヒで育成され、プレッシングをDNAに刻む。
ユヌス・ムサ (MF/バレンシア)
・”高いポテンシャルを秘めるヤングスター”
・サカやスミス・ロウと同じく、アーセナルの下部組織出身の逸材。スペースでパスを受けると、推進力のあるドリブルで局面を打開できる。また若くして度胸も強く、献身的な守備で90分に渡りピッチを走り回る。
・昨季はウイングとして活躍したが、今季からインサイドハーフを務めるなど、高い潜在能力を示している。アフリカにルーツを持つが、ニョ―ヨークで生まれ、17歳のときにアメリカ代表を選択。
セルジーニョ・デスト (DF/ミラン)
・12歳からアヤックスで英才教育を受けてきた技巧派で、高度なドリブルで果敢にサイドから仕掛け、ゲームメイクにも加わることができ、バルセロナでは”ダニ・アウベスの後継者”と称されることも。
・本職は右SBだが、右ウイング、左サイドにも対応できる。
・今シーズンからミランにレンタル移籍。
ジョバンニ・レイナ (MF/ドルトムント)
・”ガラスの天才”
・極めて高いポテンシャルを秘めたアタッカー。攻撃的MFやサイド、ウィングなどを務める。スピードに乗ったドリブルで狭いスペースでも相手のプレスをかわし、味方にラストパスを供給してゴールをお膳立て。
・所属クラブのドルトムントでは“ジョーカー”として貴重な存在。
・トッププレイヤーとなる資質は充分に有するが、ケガに悩まされることが多い。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
1 | マット・ターナー | 28 | アーセナル | 18試合 | ・ゴールドカップ優勝の立役者 |
25 | ショーン・ジョンソン | 33 | ニューヨーク・シティー | 10試合 | ・ハイボール処理に自信 |
12 | イーサン・ホーヴァス | 27 | ルートン・タウン | 8試合 | ・プレミアに昇格したノッティンガム・フォレストからW杯出場を見据えて2部のルートン・タウンに移籍 ・代表では控えGKの立場だが、闘志に溢れ、ネーションズリーグ決勝では好セーブを連発し、優勝に貢献 |
22 | デアンドレ・イェドリン | 29 | インテル・マイアミ | 74試合 | ・代表経験が豊富で、精神面でチームを支える |
5 | アントニー・ロビンソン | 25 | フルアム | 29試合(2) | ・攻撃的なSBで、ウイングのようにプレー |
15 | アーロン・ロング | 30 | ニューヨーク・レッドブルズ | 27試合(3) | ・パワーとスピードを兼備 |
2 | セルジーニョ・デスト | 22 | ミラン | 17試合(2) | ・オランダ生まれのオランダ育ち |
20 | キャメロン・カーター・ビッカース | 24 | セルティック | 11試合 | ・強靭なフィジカルを活かして、対人戦に自信 |
3 | ウォーカー・ジマーマン | 29 | ナッシュビルSC | 31試合(3) | ・セットプレーで長身を生かす |
26 | ジョー・スカリー | 19 | ボルシアMG | 2試合 | ・ダイナミックながら切れのある動きで攻守に精を出す |
18 | シャケル・ムーア | 26 | ナッシュビルSC | 15試合(1) | ・ボール奪取に長け、攻撃に厚みを加える右SB |
13 | ティム・リーム | 34 | フルアム | 46試合(1) | ・昨季はクラブの全46試合に出場し、プレミア昇格に貢献したベテランCB ・ビルドアップには欠かすことのできない、いぶし銀の足元スキルを持つ |
8 | ウェストン・マッケニー | 24 | ユベントス | 35試合(9) | ・ハリ・ポッターのファン |
4 | タイラー・アダムス | 23 | リーズ | 30試合(1) | ・底知れないポテンシャルを秘める |
11 | デレンデン・アーロンソン | 22 | リーズ | 22試合(6) | ・チェルシー戦ではクリバリを翻弄し、GKメンディーからゴールを奪う |
6 | ユヌス・ムサ | 19 | バレンシア | 19試合 | ・コパ・デル・レイ決勝のPK戦で唯一PKを外す |
23 | ケリン・アコスタ | 27 | ロサンゼルスFC | 52試合(2) | ・安定感と万能性の高さでチームを支えるボックス・トゥー・ボックス型 ・祖母は日本人 |
17 | クリスティアン・ロルダン | 27 | シアトル・サウンダース | 32試合 | ・ドリブルとパンチ力のあるシュートが魅力 |
7 | ジョバンニ・レイナ | 20 | ドルトムント | 12試合(4) | ・狭いスペースでも相手のプレスをするりとかわし、チャンスを演出 |
14 | ルカ・デ・ラ・トーレ | 24 | セルタ | 11試合 | ・独特の感性を活かしたドリブルとパスで攻撃にリズムをもたらすレフティー ・フラムの下部組織出身 |
10 | クリスティアン・プリシッチ | 24 | チェルシー | 51試合(21) | ・チェルシーでの立場は不安定 |
16 | ジョーダン・モリス | 28 | シアトル・サウンダース | 48試合(11) | ・「アメリカのルーニー」の異名を持つ ・1型糖尿病と向き合いながらプレー |
21 | ティモシー・ウェア | 22 | リール | 25試合(3) | ・身体能力の高さを活かした爆発的なスピードとラストパスが武器 ・父はバロンドール受賞者のジョージ・ウェア |
19 | ハジ・ライト | 24 | アンタルヤスボル | 3試合(1) | ・6月のモロッコ戦で代表デビュー&初ゴール |
24 | ジョシュ・サージェント | 22 | ノリッジ | 19試合(5) | ・イングランド2部の所属クラブでは好調を維持 ・前線ならどこでもこなせる |
9 | ヘスス・フェレイラ | 21 | FCダラス | 13試合(7) | ・MLSでアメリカ人最多の18ゴールを記録し、得点力に磨きがかかった ・6月のグレナダ戦で4得点 |
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