カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、EUROでは決勝トーナメントでフランスを破ってのベスト8、W杯予選では欧州王者であるイタリアと同居するも、組織力を強みに予選を無敗の1位で勝ち抜けて本大会出場を決めた、ヨーロッパ代表のグループG・「スイス代表」。
基本情報
出場回数 | 12回目(5大会連続) |
最高成績 | ベスト8 |
FIFA ランキング | 16位 |
首都 | ベルン |
人口 | 864万人 |
監督 | ムラト・ヤキン |
愛称 | ナティ(代表) |
<直近6試合での成績>
6/6 | UNL | ポルトガル | ● | 4-0 | A |
6/10 | UNL | スペイン | ● | 0-1 | H |
6/13 | UNL | ポルトガル | 〇 | 1-0 | H |
9/25 | UNL | スペイン | 〇 | 1-2 | A |
9/28 | UNL | チェコ | 〇 | 2-1 | H |
11/17 | 親善試合 | ガーナ | ● | 0-2 | N |
・昨年のEURO2020をベスト8で終えると、2014年から指揮を執ってきたぺトコビッチ監督の後を継いで、代表OBのヤキンが就任。
・当初は不安視されていたものの、ヤキン監督は見事にチームをまとめ上げ、W杯予選を6戦無敗で切り抜け、欧州王者イタリアとの熾烈な争いを制して予選1位で本大会出場に導き、チーム・国民に大きな自信を与えた。
・チームには、経験豊かなジャカやゾマーに加えて、ブレイクを期待させる若手も揃い、カタールW杯で上位進出を窺えるポテンシャルを秘めてはいる。しかし、6月のネーションズリーグでは4試合で3敗を喫し、得点数は「3」と長年の課題である得点力不足が気がかりではある。
監督
名前 | ムラト・ヤキン |
生年月日 | 1974.9.15(48) |
国籍 | スイス |
就任 | 2021.8月 |
・昨年8月に、長期政権を築いたぺトコビッチ監督の後を引き継いで代表監督に就任。
・監督としてFCバーゼルを2度の国内リーグ優勝に導き、CLのグループステージではチェルシー相手にホームとアウェイで勝利を収め、ジョゼ・モウリーニョから賞賛を受ける。
・選手時代はCBで、スイス代表として10年に渡ってプレー。
・W杯予選の最終節で、イタリアをスコアレスドローに抑えた北アイルランドに感謝の気持ちを込めて、9.3kgのスイスチョコレートを北アイルランドサッカー協会に送る。
・母から教わったオムレツが得意料理。
基本フォーメーション・戦術
強みである「組織力」で、攻守に連動性のあるサッカーを展開
<基本フォーメーション>

・チームの強みは「組織力」で、長きに渡って主軸を担うジャカやシャキリ、ゾマーを中心に攻守に連動性のあるサッカーを展開する。
・前任のペトコビッチ監督はEURO2020で3バックを一貫して採用していたが、ヤキン監督は【4-2-3-1】をベースにW杯予選を戦い抜いた。
・6月のネーションズリーグでは、【4-4-2】や【4-3-3】を試すなどテスト色が濃い中で、スペイン戦では勝利していてもおかしくない内容だったため、3連敗をネガティブに捉える必要はないだろう。
・欠点は、前線に決定力を備えた選手がいないことで、相手に引かれてしまうと難しい展開になり、シャキリのFKや、ジャカのミドルシュートなど、個人技に頼ることになるだろう。
<攻撃時>

・安易にロングボールに頼ることはせず、後方から丁寧なビルドアップを組み立てる意識が根付いていおり、深い位置でジャカが中心となって長短のパスを駆使して全体をコントロールすることで、チームとボールを押し上げる役割を担う。
・SBも積極的に攻め上がり、数的優位を形成してから、敵陣を崩しにかかるスタイルが特徴。
・トップ下を任されるシャキリは、サイドで味方がボールを保持するタイミングでハーフスペースに侵入し、精度の高い左足で局面を打開する崩しのキーマン。そこに打点の高いCFであるエンボロ、セフェロビッチが絡むことで、よりゴールに近づける。
<守備時>

・前線から果敢にプレスを仕掛けはするが、しつこく追いかけることはせず、素早くリトリートに移行し、相手の攻撃に備えた3ラインの陣形を整える。全員守備がベースだが、CFとトップ下の選手はカウンターに備えて前線に残る。
・最終ラインは高さを保ちながら、裏取りを狙う相手をオフサイドトラップで阻止する傾向が強い。ただし、3月のイングランド戦では、タイミングよく抜けられる場面が目立ち、ハイリスク・ハイリターンであることを覚悟しなければならない。
・攻め込まれるシチュエーションでも、DF陣に高さがあり、平凡なクロスをスムーズに跳ね返せるだけの強固な守備を誇る。
注目選手(4人)
ヤン・ゾマー (GK/ボルシアMG)
・”ブンデスリーガ屈指のシュートストッパー”
・GKとして非常に穴の少ない選手。「ポジショニング」と「ハンドリング」が抜群に長け、ボールを弾く方向なども常に的確。重心を低くすることでシュートへの反応がより素早くなり、ヘディングやグラウンダーのボールに対してもしっかりと反応することができる。
・身長は183cmとGKとしては小柄な部類で「ハイボール」などが圧倒的に強いわけではない。しかし、アジリティーが備わっており、こぼれ球に対する反応はピカイチ。コラプシング技術もしっかりと身に付けているため、至近距離弾にもめっぽう強く、ビックセーブを連発する。
・リーダーシップも買われており、ビルドアップの面でも貢献するなど、GKとしてハイレベルな選手である。
グラニド・ジャカ (MF/アーセナル)
・”大黒柱のマエストロ”
・ゲームメイクを担う大型MF。武器である正確無比な左足から、攻撃の起点となるロングレンジのパスや豪快なミドルシュートを繰り出す。また、低い位置からの鋭い持ち上がりや、ハードワークでも存在感を示す。
・ビルドアップ時のキーマンとして、長短織り交ぜたパスと広範囲に渡る動きで、チーム全体を押し上げる役割を担う。
・昨季からプレーエリアが広がり、今季からはボックス内に飛び込む役割もこなす。またセットプレーでも頼りに。
ジェルダン・ジャキリ (MF/シカゴ・ファイアー)
・”崩しのキーマン”
・左足からのパス精度が高く、ゴールへリンクするパスを前線の選手たちへ供給する。
・身長は169cmと、選手の中では小柄ながら、体重は72kgとかなりゴツい体格をしている。そのため、当たり負けしないフィジカルを誇り、高いキープ力が持ち味。2列目でボールを保持できる選手で、攻撃に厚みを持たせることができる。
マヌエル・アカンジ (DF/マンチェスター・C)
・”読みに秀でたCB”
・俊敏性を生かしたディフェンスが特徴。スプリント能力に優れていて、対峙する相手選手に走り負けることなく対応ができる。さらに、カバーエリアの広さも魅了で、スピードを活かして裏のスペースも走って埋める。
・ボールを運べるうえ、ビルドアップにも貢献できるテクニックとパスセンスを兼ね備える。
・今シーズン、移籍市場最終日にマンチェスター・Cに移籍。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
1 | ヤン・ゾマー | 33 | ボルシアMG | 74試合 | ・第4節のバイエルン戦では、19セーブを記録しSofaScoreで10点満点の評価 |
21 | グレゴール・コベル | 24 | ドルトムント | 3試合 | ・セービング能力と守備範囲に自信 |
12 | ヨナス・オムリン | 28 | モンペリエ | 4試合 | ・モンペリエの正GK |
24 | フィリップ・ケーン | 24 | ザルツブルク | 0 | ・ケガ人が続出したことによって登録メンバーに選出された現代型GK ・性格は内向的だが、足下に強い |
13 | リカルド・ロドリゲス | 30 | トリノ | 98試合(9) | ・トリノの新主将で、粘着型DF |
22 | ファビアン・シェア | 30 | ニューキャッスル | 71試合(8) | ・アグレッシブな守備でボールを奪い、攻撃にも積極的に参加 |
5 | マヌエル・アカンジ | 27 | マンチェスター・C | 41試合 | ・父はナイジェリア人で、姉は社会民主党の市議会議員 |
4 | ニコ・エルベディ | 26 | ボルシアMG | 38試合(1) | ・クラブで同僚のゾマーとは阿吽の呼吸 |
3 | シルバン・ビドマー | 29 | マインツ | 31試合(2) | ・マインツでは加入2年目でキャプテンを務める |
18 | エライ・キュメルト | 24 | バレンシア | 9試合 | ・開幕戦で退場 |
23 | ジェルダン・シャキリ | 31 | シカゴ・ファイアー | 106試合(26) | ・ロシアW杯では政治的パフォーマンスで罰金処分 |
10 | グラニド・ジャカ | 30 | アーセナル | 104試合(12) | ・アーセナルサポーターと復縁したことで、本人も復調に |
8 | レモ・フロイラー | 30 | ノッティンガム・フォレスト | 46試合(4) | ・EURO、CL、W杯を知る百戦錬磨で、アタランタ仕込みのスタミナと献身性が魅力 |
6 | デニス・ザカリア | 26 | チェルシー | 40試合(3) | ・レンタル移籍したチェルシーではカンテの後継者 |
15 | ジブリル・ソウ | 25 | フランクフルト | 30試合 | ・EL優勝を経験。中盤のオーガナイザー |
11 | レナト・シュテフェン | 31 | ルガーノ | 25試合(1) | ・左右の切り崩し役 |
17 | ルベン・バルガス | 24 | アウクスブルク | 24試合(4) | ・独力で攻撃の局面を打開できるキーマン |
20 | ファビアン・フライ | 33 | バーゼル | 22試合(3) | ・3年ぶりに招集 |
2 | エジミウソン・フェルナンデス | 26 | マインツ | 22試合(2) | ・ユーティリティーなMF |
14 | ミシェル・アエビシェール | 25 | ボローニャ | 10試合 | ・運動量の多いBox To Box型 |
26 | アードン・ヤシャリ | 20 | ルツェルン | 1試合 | ・ここ 1 年間のスイス サッカー界で最大の発見 ・1月にトップチームでデビューを飾るや、すぐさま適応、今やクラブで副キャプテンを務めるまでに ・ジャカを彷彿とさせるプレースタイルで、的確な守備対応に、推進力のドリブルと鋭い縦パスを差し込む |
25 | ファビアン・リーダー | 20 | ヤングボーイズ | 11試合(2) | ・スイスで最も才能のある選手の 1 人と注目される逸材 ・広い視野を持ち、相手が予期しないタイミングでパスを繰り出すなど、攻撃性能が光る中盤の支配者 |
9 | ハリス・セフェロビッチ | 30 | ガラタサライ | 86試合(25) | ・EURO2020フランス撃破の立役者 |
7 | ブレール・エンボロ | 25 | ASモナコ | 56試合(9) | ・パワーとスピードを有し、得意のポストプレーで基準点に |
19 | ノア・オカフォー | 22 | ザルツブルク | 8試合(2) | ・昨シーズンはCLで3得点を記録して知名度UP |
16 | クリスティアン・ファスナハト | 29 | ヤングボーイズ | 15試合(4) | ・脳震盪とその後遺症に悩まされながら、最後の最後に登録メンバーに選ばれた攻撃的MF ・右サイドで躍動する ・EURO2020のフランス戦では途中出場から決定的なインターセプトを繰り返し、勝利に貢献 |
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