カタールW杯に出場する全32チームを紹介
今回は、前回大会からメンバーを大幅に一新し、4年の歳月を費やして築いた新体制の下で、悲願の「ベスト8進出」を狙う、アジア代表のグループE・「日本代表」。
基本情報
出場回数 | 7回目(7大会連続) |
最高成績 | ベスト16 |
FIFA ランキング | 24位 |
首都 | 東京 |
人口 | 1億2475万人 |
監督 | 森保一 |
愛称 | サムライ・ブルー |
<直近6試合の成績>
6/6 | キリンチャレンジカップ | ブラジル | ● | 0-1 | H |
6/10 | キリンチャレンジカップ | ガーナ | 〇 | 4-1 | H |
6/14 | キリンチャレンジカップ | チュニジア | ● | 0-3 | H |
9/23 | キリンチャレンジカップ | アメリカ | 〇 | 2-0 | N |
9/27 | キリンチャレンジカップ | エクアドル | △ | 0-0 | N |
11/17 | 親善試合 | カナダ | ● | 1-2 | N |
・「ロストフの死闘」と言われたベルギー戦の悲劇から4年。歴代最高成績の”ベスト8”を目標に、森保ジャパンは試行錯誤を重ねてきた。最終予選の出だしは大きく躓いたものの、オ―ストラリア戦以降は6連勝を達成し、紆余曲折を経て本大会出場を決めた。
・今回の日本代表は、いままでとは少し雰囲気が異なる。森保監督は「世代融合」という言葉を用いて、前回大会から大幅にメンバーを一新。欧州でプレーする選手が増え、日本サッカーの進歩を実感できる陣容となっている。チームの骨格は固まっているが、唯一の不安要素はCFの人材不足だろう。
・日本代表のいるグループEにはドイツ、スペインが同居するなど、前例がないほど厳しい組み合わせとなっている。前評判は決して高くないが、優勝経験がある2国と勝負できることを踏まえれば、4年間の集大成をぶつける又とない機会だとも言える。強豪国を恐れず、チーム一丸となって戦いに臨めば、未来は切り開けるはずだ。
監督
(名前) | 森保一 |
(生年月日) | 1968年8月23日(54) |
(国籍) | 日本 |
(就任日) | 2018年7月 |
・2012年に監督に就任したサンフレッチェ広島を、4年で3度のJ1優勝に導き、その実績を買われる形で東京オリンピック代表監督、A代表監督に選ばれる。
・現役時代には、「ドーハの悲劇」を経験。守備的ミッドフィルダーとして中盤の底を務め、相手からボールを奪い攻撃の芽を摘む能力、また攻撃を遅らせることに長けていた。日本に「ボランチ」というサッカー用語が定着するきっかけとなった選手である。
・愛称は「ポイチ」。高校時代に試合に出ていたころ、公式記録などで「森 保一」とたびたび勘違いされ、それを見た同級生がポイチと呼び出したことから。
基本フォーメーション・戦術
11人の高度な献身性と組織力を活かし、狙うは”大金星”と悲願の”ベスト8”
<基本フォーメーション>

・今大会での日本代表の最大の使命は”ジャイアントキリング”だ。傑出した個性を持つ選手を欠くだけに、11人全員が攻撃と守備の両面で献身的に振舞い、高いレベルで組織されたプレーで金星を狙う。
・アジア最終予選の4節以降は【4-3-3】を採用して戦ったが、9月の試合では【4-2-3-1】に回帰。本番もこのフォーメーションで臨むことが有力だ。これは、予選ではレギュラーだったMF田中碧がドイツ2部で苦戦する一方で、MF鎌田大地がブンデスとCLの大舞台で結果を残すなど絶好調なのが要因。”巨人殺し”の秘策に鎌田を選ぶことは至極全うだろう。
・「察しと気づかい」に長けた選手たちのメリットを活かしつつ、選手交代を駆使して最後まで高い強度を保ち、勝ち点をもぎ取る戦略が基本。
・最も変えの利かない選手は、6月の全4試合に先発した遠藤航。
<攻撃時>

・対ドイツ、スペイン戦を想定すれば、ポゼッションで優位に立てることは考えにくい。9月の試合では、スプリント力のある前田大然を中央に、久保を左、伊東を右にする並びを採用した。そうすることで、前田が背後を狙って相手の最終ラインを押し下げ、両サイドが幅を取ることで自然と中央に鎌田の活躍できるスペースを生じさせることが狙いだろう。
仮に久保を右、南野を左に配置すれば、両翼が中へと侵入しすぎてしまい、鎌田の活躍できる場を奪うことになる。
・ビルドアップでは、CB間に遠藤が加わってボールを動かし、中盤を経由して敵陣に運ぶ。ボランチの2人が、上下か斜めの関係を築きながら相手の動きに応じてポジションを変え、SBは高い位置に留まることは、W杯予選から不変。
・高さと強さを兼ね備えたCFが不在なだけに、サイドからクロスを入れることは効果的でない。またラスト30mの攻略でも個人で違いを創りだせる個人のクオリティーに欠けるため、得点パターンは限られる。
最大の得点チャンスは、中盤や敵陣でボールを奪ってからのショートカウンター。そこにスピードと突破力を備える三苫が加われば、さらに攻撃力は増すだろう。
・相手からボールを奪った場合は、右サイドの伊東か、中央の前田や浅野のような快速FWにボールを配給し、相手の「裏」取りを狙う。
<守備時>

・指揮官が「良い守備から良い攻撃」と言うように、ハイインテンシティーと素早い切り替えを選手たちに求める。ドイツ、スペインとの試合でも、9月のアメリカ戦のような果敢なプレスが生命線となるだろう
・相手にボールを保持される場合は、近くの選手からプレスを仕掛け即時奪還を狙う。それができない場合は、リトリートしてミドルプレスに移行。自陣に引いてのブロックは【4-4-2】の3ラインが基本。
・6月のブラジル相手には粘り強さを見せたが、チュニジア戦のように相手のプレッシャーに対応できず、後手に回るような守備をするようでは、グループステージ突破は厳しい。
注目選手(8人)
南野拓実 (FW/ASモナコ)
・“日本のエース”
・アジア予選ではチーム最多の10得点を記録した”日本の10番”。絶妙なポジショニングでボールを受けて前を向くプレーが強み。レベルの高いドリブルテクニックとアジリティを活かした狭いスペースでのプレーが得意。バイタルエリアでも積極的にゴールを狙う。
・ザルツブルグ出身だけに攻守の切り替えが素早い。90分間休まずに前線からチェイスを仕掛け、守備への貢献度も高い。システム変更で左ウイングに移って以降、ゴールが減り輝きを失っている中で、カタールW杯に臨むことに。日本の10番の復活に期待したい。
伊東純也 (FW/スタッド・ランス)
・”日本が誇る韋駄天アタッカー”
・日本アタッカー陣の中で随一のサイドを縦に突破する驚異的なスピードと質の高いクロスを備えた”順足ウイング”。最大の武器は縦のドリブル突破とクロスで、常にスキがあれば突破を仕掛ける。その積極的なスタイルで日本代表の攻撃に、縦のダイナミズムと数的優位をもたらす。攻撃に幅と選択肢を加える重要な選手だ。
・昨シーズンまで所属したヘンクでは、ジュピラー・プロ・リーグのアシスト王と年間最優秀ゴール賞を獲得。日本代表としてもアジア最終予選での4試合連続ゴールなど決定力も備え、カタールW杯出場に大きく貢献した。
・スタッド・ランスの公式HPでは「伊東は、幅広い技術を持つ超完璧なウイング」「ゴール前でのプレーが非常に巧み。起点になることもフィニッシュするうこともできる希少な選手」と紹介された。
三苫薫 (FW/ブライトン)
・”日本の最新兵器”
・瞬発力と相手の重心を見極めた変幻自在のドリブルで、左サイドから敵陣を切り崩すドリブラー。細かいボールタッチで密集を抜け出すプレーを得意としているテクニカルで、しかも一気に相手を置き去りにできる爆発的な突破力も備える。伊東と並んで日本の攻撃に縦のダイナミズムを加える貴重な存在だ。
・相手を押し込んだ状況でも、守備陣の外から中に向かって突破を仕掛けて1人、2人とかわして決定機を創り出す1対1突破のクオリティーは特筆すべきレベル。突破後のプレー精度も高く、対戦相手の意表を突くラストパスでゴールに結びつける。
・W杯出場がかかったオーストラリア戦では、途中出場から土壇場で2ゴールを挙げる活躍で、日本代表をW杯に導いた。
鎌田大地 (MF/フランクフルト)
・”EL王者・フランクフルトの中盤に君臨する奇才”
・ボールキープ力に優れ、推進力と決定力を併せ持つ技巧派MF。広い視野と正確無比な右足で独特のリズムを創り出し、攻撃を活性化させる。相手にとって危険なスぺ―スを瞬時に見極め、そのスペースを活用して”違い”を生むセンスは別格。強豪国に勝利するためにも必要不可欠な”日本のキーマン”だ。
・シャドー、ウイング、ボランチと、どこで起用されても結果を残す。昨季のELでは13試合で5ゴールを記録し、優勝に大きく貢献。準々決勝、準決勝でゴールを演出するなど、ビックマッチに強いのも魅力。
守田英正 (MF/スポルティング)
・”攻守で黒子役に徹する万能型MF”
・試合の流れを読んだ的確なポジショニングと展開力が魅力。長短のパスを駆使してボールを循環させ、攻撃を組み立てる。テクニックとスタミナも高水準で備える。
・高い危機察知能力とデュエルでの強さ、的確なカバーリングを活かして高いボール回収率を誇るなど、守備での貢献度も大きい。
遠藤航 (MF/シュツットガルト)
・”日本が誇るドイツのデュエルキング”
・フィジカルの強さと鋭い読み、間合いを詰める早さを武器にディフェンス面で大きく貢献。鋭いパスさばきを活かしたチャンスメークやゴールに関わる仕事もできる。つねに縁の下の力持ちとしてチームを支え、いまでは中盤の絶対的なキーマンに君臨。
・2年連続で、ブンデスリーガのデュエル勝利数1位を獲得し、ドイツ国内での評価は上々で、日本代表でも欠かせない存在。
・昨夏の東京五輪からの過密日程でコンディション調整の難しさが続きながらも、文句を何一つ言わず現実と向き合い、自分のプレーをさらに成長させ、チームを見事1部残留へと導いた。
富安健洋 (DF/アーセナル)
・”日本の最終ラインの顔”
・CBとしてもSBとしても欧州トップレベルで活躍できる現代的DF。身長188cm、体重84kgという恵まれた体格を生かし、現在所属するアーセナルでは空中戦や1対1の守備力を評価され両サイドバックを務めている。両足でボールを操りビルドアップにも難なく対応。自らボールを前に運ぶ推進力も併せ持つ。
・高い戦術的インテリジェンスも持ち合わせ、つねに冷静に状況を把握し的確に対象できる。代表ではセンターバックの他にボランチで起用されたこともある。またボローニャでは右サイドバック、アーセナルでは左サイドバックを任されるなど、複数のポジションをこなせるのも強み。
板倉滉 (DF/ボルシアMG)
・”日本代表で頭角を現した大型CB”
・守備的オールラウンダーで、センターバックとボランチとしてもプレー可能。長身を活かした空中戦の強さが特徴で、タックルでの強さに加え、ボール保持時にも才能を発揮。
・ブンデスリーガ初挑戦の昨シーズンはシャルケの1部昇格に大きく貢献。今季からボルシアMGへと完全移籍を果たした。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績 | |
12 | 権田修一 | 33 | 清水エスパルス | 32試合 | ・抜群の反射神経と身体能力を活かした、日本トップクラスのシュートストップが武器。 |
23 | シュミット・ダニエル | 30 | シント=トロイデン | 9試合 | ・フィジカルと足下スキルに優れた大型GK ・守備範囲が広く、ビルドアップやフィードでも大きく貢献できる |
1 | 川島永嗣 | 39 | ストラスブール | 95試合 | ・4度目のW杯となる日本のレジェンド ・最年長としてチームを内外で支える、良いお手本 ・英語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語、オランダ語、フランス語を操る |
22 | 吉田麻也 | 34 | シャルケ04 | 119試合(12) | ・日本代表で長く最終ラインを支える主将 |
19 | 酒井宏樹 | 32 | 浦和レッズ | 70試合(1) | ・日本人離れしたフィジカルと低弾道のクロスが武器 ・心強い存在だが、ケガに悩まされる |
5 | 長友佑都 | 36 | FC東京 | 136試合(4) | ・長所は決して下を向かないメンタルと運動量を活かした上下動 |
3 | 谷口彰悟 | 31 | 川崎フロンターレ | 10試合 | ・ビルドアップ能力が高く、肉弾戦も厭わない ・Jリーグを代表するイケメン選手 |
2 | 山根視来 | 28 | 川崎フロンターレ | 12試合(2) | ・DF登録ながらドリブルが代名詞 |
4 | 板倉滉 | 25 | ボルシアMG | 12試合(1) | ・所属チームのダニエル・ファルケ監督も「エクセレント」と称賛 |
16 | 富安健洋 | 24 | アーセナル | 28試合(1) | ・健康体を維持できるかがポイント |
26 | 伊藤洋輝 | 23 | シュツットガルト | 3試合 | ・ブンデスリーガの大型選手相手にもあたり負けない強さに加え、長い手足を武器とした守備が魅力 |
6 | 遠藤航 | 29 | シュツットガルト | 41試合(2) | ・チームメイトの伊藤洋輝曰く「あの人は日本人じゃない」 |
13 | 守田英正 | 27 | スポルティング | 16試合(2) | ・日本代表とクラブでともに欠かせない存在 ・ブスケツが憧れの存在 |
17 | 田中碧 | 24 | デュッセルドルフ | 13試合(2) | ・ポジショニングに優れ、体格、パワー、スピードとそろい踏みで、大きな弱点がない |
7 | 柴崎岳 | 30 | レガネス | 58試合(3) | ・視野の広さとミドルパスで局面を打開する ・守備も献身的 |
8 | 堂安律 | 24 | フライブルク | 26試合(3) | ・右サイドからのカットインでチャンスを創る ・小学生時代のC大阪のセレクションに落ちた挫折から大化け |
15 | 鎌田大地 | 26 | フランクフルト | 19試合(5) | ・日本代表でもトップ下で躍動し、攻撃を牽引するキーマン |
11 | 久保建英 | 21 | レアル・ソシエダ | 18試合(1) | ・ソシエダ加入で覚醒し、バルセロナ仕込みのスキルの高さとドリブルを遺憾なく発揮 ・各メディアから「日本のメッシ」と称される |
10 | 南野拓実 | 27 | ASモナコ | 42試合(17) | ・この夏、出場機会を求めてリバプールを飛び出し、フランスで新たな冒険に挑むことを決断 |
14 | 伊東純也 | 29 | スタッド・ランス | 36試合(9) | ・自他ともに認める人見知り |
9 | 三苫薫 | 25 | ブライトン | 7試合(4) | ・所属チームのグレアム・ポッター前監督曰く「彼はディフェンダーにとってちょっとした悪夢」 |
18 | 浅野拓磨 | 26 | VFLボーフム | 36試合(7) | ・前線でのハードワークを怠らず、ゴールへの嗅覚も高い ・愛称は「ジャガー」 |
24 | 相馬勇紀 | 25 | 名古屋グランパス | 7試合(3) | ・E-1選手権で得点王とMVPを獲得 ・スビードを活かしたドリブル突破が魅力 |
21 | 上田綺世 | 24 | サークル・ブルッヘ | 9試合 | ・ストライカーとしての能力が高く評価されて今シーズンからヨーロッパへ |
25 | 前田大然 | 25 | セルティック | 7試合(1) | ・長所は圧倒的な走力とスタミナを活かした”鬼プレス” ・ゴールパフォーマンスは「アンパンマン」 |
20 | 町野修斗 | 23 | 湘南ベルマーレ | 4試合(3) | ・E-1選手権で結果を残し、9月にはA代表に招集された期待の若手 |
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