カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、カタールW杯出場のかかったプレーオフを前に、アフリカ・ネーションズカップでのベスト8敗退を受けて監督が解任されるも、そのプレーオフではマリの猛攻から逃げ切り本大会出場を決めた、アフリカ代表のグループD・「チュニジア代表」。
基本情報
出場回数 | 6回目 |
最高成績 | グループステージ敗退 |
FIFA ランキング | 30位 |
首都 | チュニス |
人口 | 1194万人 |
監督 | ジャレル・カドリ |
愛称 | エーグル・ドゥ・カルタ―ジュ (カルタゴの鷲) |
6/3 | AFCON | 赤道ギニア | 〇 | 4-0 | H |
6/5 | AFCON | ボツワナ | △ | 0-0 | A |
6/10 | キリンカップ | チリ | 〇 | 0-2 | A |
6/14 | キリンカップ | 日本 | 〇 | 0-3 | A |
9/22 | 親善試合 | コモロ | 〇 | 0-1 | A |
9/28 | 親善試合 | ブラジル | ● | 5-1 | A |
・”カルタゴの鷲”ことチュニジア代表。前回大会のロシアW杯ではイングランド、ベルギーに次ぐグループ3位で敗退。今回は、プレーオフでボール支配率を圧倒されながらもマリの猛攻を完全にシャットダウンしての出場権獲得。
・プレーオフ前のアフリカ・ネーションズカップでの準々決勝敗退を受けて、ケバイエ監督を更迭。後任にはアシスタント・コーチのカドリを暫定監督に据えた。指揮官の交代には批判の声も上がったが、6戦無敗で失点「0」の好成績を残し、現体制でカタールW杯に臨むことが決定した。
・「一体感」をテーマに、ヨーロッパ出身の選手もいる中で、国内リーグ、アラブ諸国でプレーする選手たちを中心にチームは構成される。戦術、スキル、フィジカルは平均レベル以上だけに、今大会の「伏兵」候補として注目だ。
監督
名前 | ジャレル・カドリ |
生年月日 | 1971.12.14(50) |
国籍 | チュニジア |
就任 | 2022.1月 |
・プロ選手としての経験はなく、指導者一筋20年。21年6月からチュニジア代表のアシスタントコーチを務め、22年1月にケビエル監督の解任を受けてアシスタントコーチから昇格。
・経験不足が指摘されるも、熱血指導と高いコミュニケーション能力でW杯出場に導き、瞬く間に国のヒーローに。
基本フォーメーション・戦術
伝統の攻撃的サッカーから「堅守」に変貌 戦術・肉弾戦も侮れない
<基本フォーメーション>

・前任のケバイエが、攻撃的サッカーが伝統だった”カルタゴの鷲”を変革させた。鉄壁の守りをベースにする彼が就任以降、失点数が激減。カドリに引き継がれて以降も6月の日本戦までの37試合の内、21試合でクリーンシートを記録している。
・堅守を武器に6月の4連戦も、若きDFリーダーのタルビを中心に無失点で乗り切り、4試合で9得点と攻撃陣も好調で、ウイングのムサクニ、FWジェバリらの活躍でキリンカップを制覇。悲願のグループリーグ突破に向けて着々と準備が進む。
・フィジカルなプレーを得意とし、1対1で強さを発揮することが攻撃と守備のポイント。肉弾戦になれば力を発揮するが、戦術にも長けているため、グループDの3か国から「伏兵」と評価される。
<攻撃時>

・ビルドアップ時は、ボランチに預けて左右に展開するか、縦にくさびを入れる。その際、両SBが高い位置まで上がって5トップを形成し、両ウイングが中に絞って中央を3人がかりで攻め上がる攻撃が多い。
・ロングボールの多用や、ボール奪取後はダイレクトに攻め込んで得点を狙ったりと、多彩なレパートリーで相手のゴールに襲い掛かる。
<守備時>

・4バックが基本で、最終ラインは中堅・ベテランを中心に【4-5-1】のタイトなブロックを敷くのが典型的な守備パターン。
・ボールホルダーには複数人でプレスを掛けて奪いに行く。
・ゴール前を固める意識が高い。中央にDFとMFの人数を割いてペナルティーエリアを固め、サイドをケアする両ウイングの守備意識も高い。
・課題は、右サイドの裏が取られやすいこと。
注目選手(4人)
ユセフ・ムサクニ (FW/アル・アラビ)
・”頼れる主将”
・最多キャップ数を誇り、攻守でチームを牽引するベテラン。足に吸い付くようなドリブルが持ち味で、「アラブのメッシ」の異名を持つ。
・今季は開幕からゴールを量産するなど、得点力も衰えを見せない。ゴール前では常に脅威となり、ボレーはミドルレンジでも高精度。
・17/18シーズンのカタール・スターズリーグ最優秀選手。アフリカ選手権には通算7度の出場。
モンタサル・タルビ (DF/ロリアン)
・”クラシックなDFリーダー”
・誠実なプレースタイルで、空中戦・地上戦ともに負けることが滅多にない。スピードもあり、回り込んでのスライディングタックルが得意。ロングフィードで前線にボールを供給することもできる。
・パリの生まれで、パリFCとFCレ・リラのアカデミーでサッカーを始める。
エリス・スキリ (MF/ケルン)
・”鋼の心臓の持ち主”
・バイエルンのキミッヒと比べられるほどの高いレベルのスキルを備える守備的MF。特に豊富な運動力が特徴で、20/21にはブンデスリーガの最長走行距離を記録した。ピッチの広範囲をカバーし、最終ラインの前で大きな壁となる。
・状況判断とテクニックにも優れ、パスワークを促進する。
・2021年にはチュニジアの年間最優秀選手に選ばれた。
ハンニバル・メイブリ (MF/バーミンガム・シティFC)
・”15歳でマンチェスター・Uに引き抜かれた超逸材”
・トップ下やインサイドハーフをメインポジションする、創造性に溢れた攻撃的MF。攻撃の起点となる絶妙なパスワークが魅力。司令塔としての才能を遺憾なく発揮できるようになれば、ワールドクラスの選手になれるだけの可能性を秘めている。
・2017年夏に、多くのビッグクラブから注目が寄せられる中でASモナコに移籍。しかしその後、家族とクラブの間でいざこざが生じ、19年夏にマンチェスター・Uへと完全移籍した。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
22 | べシル・ベン・サイド | 27 | モナスティル | 9試合 | ・9試合でクリーンシートを6回記録 ・果敢にエリア外まで飛び出す |
16 | アイメン・ダーメン | 25 | スファクシアン | 3試合 | ・昨年に膝十字靭帯を損傷も、6月のキリン杯では2試合で先発 |
1 | アイメン・マスルティ | 38 | エトワール・サヘル | 73試合 | ・前回大会までの10年間に渡ってチュニジア代表の守護神を務めたベテランGK ・安定したセービングが魅力 ・今回3年ぶりに代表に招集されて論争を引き起こす |
26 | ムエズ・アセン | 27 | クラブ・アフリカン | 20試合 | ・フランス出身の反射神経に優れたGKで、的確な方向にシュートを弾き出す |
12 | アリ・マールル | 32 | アル・アハリ | 81試合(2) | ・15/16シーズンにはDFながらチュニジアリーグの得点王に |
2 | ビレル・イファ | 32 | クウェートSC | 35試合 | ・アグレッシブな守備で相手を封じ込める ・昨年11月に8年ぶり代表復帰 |
20 | モハメド・ドレーガー | 26 | ルツェルン | 32試合(3) | ・アシスト能力が高い ・ドイツ出身 |
3 | モンタサル・タルビ | 24 | ロリアン | 20試合 | ・名門エスぺランスで育成された |
24 | アリ・アブディ | 28 | カーン | 9試合(1) | ・20/21シーズン仏2部でSBながら7得点 |
6 | ディラン・ブロン | 27 | サレルニターナ | 35試合(2) | ・対人戦に強いCB |
4 | ヤシヌ・メリアー | 29 | エスペランス | 60試合(3) | ・長らくチュニジア代表の絶対的CBとして君臨 ・アグレッシブに飛び出して相手を潰すスタイルが特徴 ・膝靭帯断裂から復帰したばかり |
21 | ワジディ・ケシリダ | 27 | アトロミトス | 18試合 | ・足下のスキルに優れ、味方のワンツーでサイドを駆け上がる右SB |
13 | フェルジャニ・サシ | 30 | アル・ドゥハイル | 76試合(6) | ・ロシアW杯ではイングランドのケインにラグビータックルをかます |
23 | ナイム・スリティ | 30 | アル・イテファク | 67試合(13) | ・巧みなドリブルでゴール前に切り込むテクニシャン |
18 | ガイレヌ・シャーラリ | 28 | エスペランス | 26試合(1) | ・中盤でボールを奪い、パスで局面を進めるのが役目 |
25 | アニス・ベン・スリマン | 21 | ブレンビー | 23試合(4) | ・流動性の高いパスワークで、チームを活性化する存在 |
14 | アイサ・ライドゥニ | 25 | フェレンツバ―ロシュ | 22試合(1) | ・フィジカル全開の馬力系 |
15 | モハメド・アリ・ベン・ロムダン | 23 | エスペランス | 22試合(1) | ・国内王者エスペランスの主力で、多くのタイトルを獲得 |
8 | ハンニバル・メイブリ | 19 | バーミンガム・シティ | 16試合 | ・今季は出場機会を求めてバーミンガムにレンタル移籍 |
5 | ナデル・ガンドリ | 27 | クラブ・アフリカン | 5試合 | ・中盤とCBに対応でき、194cmの長身も武器 |
17 | エリス・スキリ | 27 | ケルン | 46試合(3) | ・ロシアW杯を知るメンバーの1人 |
7 | ユセフ・ムサクニ | 32 | アル・アラビ | 85試合(17) | ・2017年、チュニジアの女優でファッションモデルのアミラ・ジャジリと結婚 |
10 | ワフビ・ハズリ | 31 | モンペリエHSC | 69試合(17) | ・現代表でのトップスコアラーで、FKの名手 |
11 | タハ・ヤシン・へニシ | 30 | クウェート | 46試合(8) | ・16/17、18/19のチュニジアリーグ得点王 |
19 | セイフェディン・ジャジリ | 29 | ザマレク | 28試合(10) | ・両足、ヘッド、FKとどのシュートもレベルが高い |
9 | イサム・ジェバリ | 30 | オーデンセ | 9試合(3) | ・ドリブルからの一発、ワンタッチで押しこむのが上手いパワフルなFW |
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