カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、昨年のEUROではベスト16で敗退したが、FIFAカタールW杯2022・欧州予選ではグループを1位で通過し、見事2大会ぶりとなるワールドカップ進出を決めた、ヨーロッパ代表のグループA・「オランダ代表」。
基本情報
出場回数 | 11回目(2大会ぶり) |
最高成績 | 準優勝 |
FIFAランキング | 8位 |
首都 | アムステルダム |
人口 | 1755万人 |
監督 | ルイ・ファン・ハール |
愛称 | オランイェ(オレンジ) |
<直近6試合の成績>
6/4 | UNL | ベルギー | 〇 | 1-4 | A |
6/9 | UNL | ウェールズ | 〇 | 1-2 | A |
6/12 | UNL | ポーランド | △ | 2-2 | H |
6/15 | UNL | ウェールズ | 〇 | 3-2 | H |
9/23 | UNL | ポーランド | 〇 | 0-2 | A |
9/26 | UNL | ベルギー | 〇 | 1-0 | H |
・4年前、代表チームがネーションズリーグで、アヤックスがClで活躍したことを契機としてオランダ・サッカー界は復活の狼煙を上げた。次々と選手たちがビックリーグへ移籍していく一方、アヤックス、PSV、フェイエノールトなどから新たな才能が輩出され、同国を下支えする層が一層と厚くなっていく。そんな好循環が、今現地で生まれている。
・今回、代表3期目を務めるファン・ハールは長所と短所を理解した上で、予選時に採用したナショナルシステム【4-3-3】から【3-4-1-2】、【3-5-2】にオランイェを作り変えることに対して国民に理解を求めた。こうして生まれたのがスピード感あふれた現在のオランダだ。
・ファン・ダイクやF・デ・ヨングなどのスター選手が台頭し、タレント力の点で言うと3位の好成績を残したブラジル大会以上のレベルだろう。直近のネーションズリーグでもベルギーに連勝するなど、強豪国相手にも堂々たる戦い繰り広げている。本大会でも比較的恵まれたグループに組み入れられただけに、ベスト8進出は至上命題と言える。むしろ、そこから先の死闘を制し、2010年(準優勝)、2014大会(3位)の再現をできるかに注目だ。
監督
(名前) | ルイ・ファン・ハール |
(生年月日) | 1951.8.8(71) |
(国籍) | オランダ |
(就任) | 2021月8月 |
・95年にアヤックスを美しい攻撃サッカーでCL優勝に導いた理想主義者はここ10数年は現実主義者に変貌し結果を求め続けてきた。
・オランダ代表を務めるのは三期目。2期目の14年W杯では全員攻撃・全員守備で3位に。
・W杯予選では伝統の「4-3-3」を踏襲して結果を残し、今年に入ってから3バックに切り替え。最初は「3-4-1-2」をメインにしていたが、6月は「3-5-2」「3-4-1-2」を織り交ぜながら4試合を戦いシステムのバリエーションを増やしてきた。
基本フォーメーション&戦術
名将の下で復活を遂げたオレンジ軍団 洗練されたスタイルで躍進を
<基本フォーメーション>

<攻撃編>

・「4-3-3」時に比べるとポゼッション率は下がっているものの、攻撃性能は上昇した。その要因は、機動力に富んだFW陣のデパイ、ベルフワイン、ベルフハウスが相手ゴール正面で勝負する機会が増えたことが、得点向上の要因だろう。この3人のセットは主に2トップ1シャドーを形成する。ハイプッレッシングからショートカウンターを狙うオランダだが、デパイ、ベルフワインのスピードを最大限生かすために、あえて自陣に引いてあらかじめスペースを作ることもある。
・v・ヤンセン、ウェルホルストといったターゲットマンを最前線に置いた1トップ2シャドーは攻撃オプションの一つ。試合終盤のリスクを負って攻める時にはCBのファン・ダイクが上がって2トップになり、ロングボールやアーリークロスの徹底して入れる。
・3月の中盤はF・デ・ヨングとコープマイナースをコントロール役にし、ベルフハウスをトップ下に置く正三角形だった。しかし、6月のベルギー戦は、相手のMFに合わせてF・デ・ヨングをアンカーに、クラーセンとベルフハウスをインサイドハーフに置く逆三角形を採った。W杯でも相手の中盤に合わせてMFを送り出すだろうが、左ウイングバックのブリントが中盤に絡んでポゼッションにスパイスを加えることに変わりはないだろう。
<守備編>

・カウンターを狙い即時回収を目指す。ハイラインが基本だが、意図的に下げて2トップのためにスペースを作ることもある。
・CB人は質と量ともに充実しているが、「攻➡守」のトランジッション時にはロストへの備えが悪く、再三中央を割らピンチを招くシーンがあった。
・GKはこのチームの「アキレス腱」で、まだ代表経験のないベテランのパスフェールの名がW杯行きの候補に上がるほど事態は深刻。W杯では、その日の調子次第でGKを選ぶことになりそうだ。
注目選手(5人)
フレンキー・デヨング(MF/バルセロナ)
・“オランダのレジスタ“
・インサイドハーフ、アンカー、CBと様々な役割をこなせる”天才肌のゲームメイカー”。卓越したスキルとテクニックを用いて、敵のプレスを無力化しながら前線にボールを運ぶ姿は「美しい」の一言。高いパススキルや広い視野を活かしてチームのリズムを変えるほか、鋭いパスで相手の守備網を破る。
・守備面での貢献も高く、181cm/70kgと身体が特別大きいわけではないが、危機察知力を生かしたボールカットも得意としており、攻守両面でチームに安定感をもたらす。
ファン・ダイク(DF/リバプール)
・“世界最高のCB“
・怪物級のFWが揃うプレミアリーグでも壁のようにそびえ立ち、敵の得点チャンスをいともたやすく無効化する。多彩な守備テクニックを用いてアタッカーを抑え込み、ドリブルで抜かれることはまずない。
・昨年は、膝靭帯断裂の大ケガから完全復活を遂げ、鉄壁の守備と正確なロングフィードで攻守に機能性をもたらす。最終ラインからビルドアップを構築する役割を担い、セットプレーでもターゲット役として存在感を放つ。
・観客席にまで響き渡る声で味方を叱咤激励する姿はまさに”ザ・キャプテン”そのもの。
メンフィス・デパイ(FW/バルセロナ)
・”デランテロ”
・9番としてプレーするが、いわゆる“エリア内のキラー”ではなく、少し引いた位置まで下がり、組み立てに参加しつつゴールを襲うタイプ。圧倒的なキープ力を誇り、うかつに足元に入ると軽くかわされる。シュートはパワフル。セットプレーの精度も非常に高い。
・昨年は目玉選手としてバルセロナに加入し前半戦はコンスタントにネットを揺らし続けたものの、同胞のクーマン監督の解任と自身の故障により立場が不安定になり、今シーズンは、レバンドフスキなどライバルの増加により、チームの放出候補だったが残留を決意。
・HIPHOPのラッパーとして曲をリリースしたり、自身の服飾ブランドを持つなど、ピッチ外でもアクティブ。
ドゥン・フリース(DF/インテル)
・”右サイドを駆け上がるビースト”
・サイドバックとは思えぬ189㎝の強靭なフィジカルとエネルギッシュなプレースタイルが特徴。圧倒的な走力・突破力・運動量で相手をなぎ倒しながら右サイドを切り崩し、一気にチャンスメイスして攻撃に厚みを加える。
・守備対応でも一切手加減せずに体を張り、EUROではその姿が評価されて一躍国民を虜にした。18歳までアマチュアのクラブに所属し、超遅咲きという点でも好感度が高く、国民から愛される存在。
マルテン・デ・ローン(MF/アトランタ)
・“セリエA最強の狩人”
・ピッチ内で黙々と汚れ仕事をこなし、広範囲に動き回ってボールを刈り取る中盤。最大の武器がボール奪取率の高さで、セリエAでもトップクラスのタックル成功率を誇る。また空中戦も強く、地上でも空中でも相手の攻撃をシャットアウトできる。
・パス項目でもチーム内でトップの数値を記録し、自らボールを回収し、そこから起点となってスムーズにビルドアップすることができる。
選手一覧
<GK>
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
13 | ジュスティン・バイロー | 24 | フェイノールト | 6試合 | ・オランダリーグ随一のゴールキーパー。 ・最終予選では一時的に正GKを務めたが、ケガで再び挑戦者の立場に。 |
1 | レムコ・パスフェール | 39 | アヤックス | 2試合 | ・CLの大舞台で己の実力を証明し、39歳で代表デビューを果たしたベテランGK |
23 | アンドリエス・ノパート | 28 | ヘーレンフェーン | 0 | ・28歳にして突如覚醒を遂げた遅咲きで、誰もが驚く代表入りを果たした ・家族との話し合いで引退を進められた |
<DF>
2 | ユリエン・ティンバー | 21 | アヤックス | 10試合 | ・粘着性の高い守備で相手を封殺し、卓越した足下スキルで攻撃に絡むことも |
17 | デイリー・ブリント | 32 | アヤックス | 92試合(2) | ・サッカーIQの高い多機能選手で状況判断はピカイチ。現代表では左SBとCBを兼務 ・自身が試合中に倒れたことから、心臓に不安を抱える人のスポーツを支援 |
6 | ステフェン・デ・フライ | 30 | インテル | 58試合(3) | ・かつての代理人との法廷闘争に勝利し、サッカーに集中する環境が整った。 ・監督から「ディフェンスの将軍」と言われる ・心理学、呼吸法などを学ぶ |
4 | フィルジル・ファン・ダイク | 31 | リバプール | 47試合(5) | ・キャプテン |
3 | マタイス・デ・リフト | 23 | バイエルン | 38試合(2) | ・イタリアで一皮むけたCB。今シーズンにドイツの絶対王者バイエルンに移籍 |
22 | デンゼル・ドゥムフリース | 26 | インテル | 35試合(5) | ・EURO2020では2ゴール・1アシストの活躍 |
5 | ナタン・アケ | 27 | マンチェスター・C | 27試合(3) | ・現体制になって一躍評価が急上昇した左利きの守備職人 ・上背が無いのを高い身体能力と鋭い読みで補い、CBだけでなくSBやボランチとしても起用できる ・恋人ケイリーは旅するブロガー |
16 | タイレル・マラシア | 23 | マンチェスター・U | 6試合 | ・スピードがあり、足下技術も高い攻撃的SB ・偽SBもこなす |
26 | ジェレミー・フリンポン | 21 | レバークーゼン | 0 | ・圧倒的なスピードで右サイドを駆け上がり、攻撃ンに厚みを加える攻撃的SB |
<MF>
21 | フレンキー・デ・ヨング | 25 | バルセロナ | 44試合(1) | ・母国サッカー界の偉人クライフを彷彿とさせ、シャビから個人指導を受けるほど気に入れられている。 |
25 | シャビ・シモンズ | 19 | PSV | 0 | ・ほぼ全ての攻撃的なポジションで起用でき、開幕から大車輪の活躍を見せる神童 |
24 | ケネス・テイラー | 20 | アヤックス | 2試合 | ・両足を遜色なく使いこなし、創造性の高さと的確な状況判断で決定機を演出する |
14 | デイビー・クラーセン | 29 | アヤックス | 34試合(9) | ・”ミスター1-0”と言われるほど先制点を決める。フリーランニングで味方からラストパスを引き出す。 ・ブルージェイズを応援する野球好き |
15 | マルテン・デ・ローン | 31 | アタランタ | 28試合 | ・母国よりイタリアでの評価が高い |
20 | トゥン・コープマイナース | 24 | アタランタ | 9試合(1) | ・左足で長短のパスを織り交ぜリズムを作る |
<FW>
10 | メンフィス・デバイ | 28 | バルセロナ | 80試合(42) | ・代表通算42ゴールを記録し、歴代一位のファンペルシー(50)を視界に捉えている。 |
11 | ステフェン・ベルフハウス | 30 | アヤックス | 37試合(2) | ・ウイングに転身後エゴが消え、真のチームプレイヤーに進化。チャンスメーカーとして快速2トップを操る |
7 | ステフェン・ベルフワイン | 25 | アヤックス | 22試合(6) | ・スピード豊かなドリブルで相手の背後を突く ・代表では得点・アシストに大活躍 |
9 | ルーク・デ・ヨング | 32 | PSV | 38試合(8) | ・バルサではスーパーサブ役がハマって批判から喝采に。代表でも同じ役割が求められる |
19 | ワウト・ウェクホルスト | 30 | ベシクタシュ | 15試合(3) | ・2mの長身を活かした空中戦で他を圧倒し、地上戦でもDFをなぎ倒してゴールを奪うスーパーサブの点取り屋 |
18 | フィンチェント・ヤンセン | 28 | アントワープ | 20試合(7) | ・巧みなポストワークで、エリア内の基準点となるFW ・シュートパターンが豊富 |
12 | ノア・ラング | 23 | クラブ・ブルージュ | 5試合(1) | ・フェイントを織り交ぜたドリブルでDFを欺き、冷静なフィニッシュを決めるファンタジスタ |
8 | コーディ・ガクポ | 23 | PSV | 9試合(3) | ・高速ドリブルからのカットインでゴールに迫るウインガー ・創造性を持ち合わせ、中央でもプレーできる |
<<<サッカー関連記事>>>
コメント