カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、W杯を知るベテラン、中堅と東京オリンピックで銅メダルの実力を誇る若手が融合した陣容で、7大会連続ベスト16止まりの歴史に終止符を打つことを誓う、中南米カリブ海代表のグループC・「メキシコ代表」。
基本情報
出場回数 | 17回目(8大会連続) |
最高成績 | ベスト8 |
FIFA ランキング | 12位 |
首都 | メキシコシティ |
人口 | 1億2601万人 |
監督 | ヘラルド・メルティーノ |
愛称 | エル・トリ (三色) |
<直近6試合の成績>
6/15 | CNL | ジャマイカ | △ | 1-1 | A |
9/1 | 親善試合 | パラグアイ | ● | 0-1 | H |
9/25 | 親善試合 | ペルー | 〇 | 1-0 | H |
9/28 | 親善試合 | コロンビア | 〇 | 2-3 | H |
11/10 | 親善試合 | イラク | 〇 | 4-0 | N |
11/17 | 親善試合 | スウェーデン | ● | 1-2 | N |
・マルチーニ監督は2019年1月の就任から、既存のチームに自らが志す戦術を浸透させながら、若手の育成にも着手。東京オリンピックに出場するU-23代表にA代表と同じ戦術を求めつつ、A代表の選手をオーバーエイジ枠で送り込み、A代表とU-23代表との融合を進めた。
・東京オリンピックで銅メダルを獲得したU-23代表の主力だったMFロドリゲスや右SBサンチェスなどは順調にステップアップを遂げ、現在はA代表で主軸を担っている。北中米カリブ海予選では、常にW杯出場圏内を維持し、最終的には予選2位で8大会連続の出場を決めた。
・今大会で17回目の出場を誇り、W杯の常連となっているが、本大会では7大会連続でベスト16止まり。今大会のメンバーは史上最強との呼び声が高いだけに、86年大会以来のベスト8進出という可能性も十分だ。
監督
名前 | ヘラルド・マルティーノ |
生年月日 | 1962.11.20(60) |
国籍 | アルゼンチン |
就任 | 2019.1月 |
・バルセロナやアルゼンチン代表などで指揮を執った経験がある。
・厳しいプレスと攻撃的なスタイルのサッカーを好み、創造的で、素早いパスがベースになっているのが特徴。
・パラグアイ代表とアルゼンチン代表の監督時代に、3回もコパ・アメリカ決勝に導くが、すべて準優勝に終わっている。
基本フォーメーション・戦術
伝統のテクニカルなサッカーに堅守を植え付け 7大会連続ベスト16敗退の歴史に終止符を打つ
<基本フォーメーション>

・R・ヒメネスやエレーラなどの前回大会経験者と、ライネスやサンチェスといった東京オリンピックの銅メダルメンバーが融合した陣容は、史上最強の呼び声が高い。
・オチョアとロサーノを除くベストメンバーで臨んだ6月のウルグアイ戦で完敗。これを糧にチーム力の向上を図れるかがポイント。
<攻撃時>

・ビルドアップは、相手のプレスを分散させてパスを繋ぐ、メキシコ伝統の「サリーダ・ラボルピアーナ」で組み立てる。具体的には、GKがボールを持つと両SBが高い位置を取り、両CBが左右に開いて、その間にアルバレスやエレーラが落ちてくることでパスワークを組み立てる。
・昔のイメージとは違い、今のチームはショートパスで繋ぎつつ、時にロングフィードを織り交ぜてピッチ全体を使う攻撃を仕掛ける。攻撃の組み立てを担うエレーラ、アルバレスが、サイドの守備の薄いエリアへ精密なロングパスを素早く展開する。
・基本的にサイドからの攻撃が中心で、左サイドはロサーノの独力での突破、右サイドはサンチェスとコロナの連係の形がよく見られ、最終的には得点源のヒメネスとゴール意識が強いロサーノが果敢にゴールを狙う。
<守備時>

・守備時は、ウイングのロサーノとコロナが2列目に加わり【4-4-2】の守備ブロックを形成。前線のヒメネスとロドリゲスが軽くチェイスを仕掛け、その動きに合わせて周りの選手たちが連携して守備陣形を整える。
・相手がミドルサード(中盤から自陣)に侵入すると、ボール付近にいる選手たちが本格的にプレスを仕掛け始め、ボール奪取に挑む。数人でボールホルダーを囲み、潰し屋のアルバレスに加え、CBのモンテスやアラウホも積極的に前に出ることで、ディフェンスサードへの侵入を食い止める。
・前線のロサーノ、エレーラの守備意識も強く、自陣深くまで相手を追いかけることもある。最後尾にはオチョアが控え、衰え知らずの反射神経で好セーブを連発する。そのため、周りの選手たちはリスクを冒して大胆な守備対応を遂行できる。
注目選手(4人)
ギジェルモ・オチョア (GK/クラブ・アメリカ)
・”稀代のビックセーバー”
・超人的なワールドクラスの反射神経を誇り、長年メキシコのゴールマウスに君臨する守護神。勝負強さと至近距離からのシュートへの反応は、30歳後半を迎えても衰え知らず。経験豊富で、大舞台になるほど集中力が増し、超人的なビックセーブでチームを救った試合は数知れない。
・ドイツW杯と南アフリカW杯ではベンチメンバーに甘んじたが、2014年に行われたブラジルW杯では守護神として見事なセーブを連発し、マン・オブ・ザ・マッチに2度選ばれ、その名を世界中に轟かせた。
・ロシアW杯でも守護神として君臨。今大会の北中米カリブ海予選でも全試合で守護神を務めた。
ラウール・ヒメネス (FW/ウォルバーハンプトン)
・”メキシカン・ストライカー”
・誰もが認めるメキシコのエース。強靭なフィジカルを活かして相手DFとの競り合いに勝ち、強引にシュートに持っていく。空中戦のヘディングも強く、セットプレーでは常に頼りになる存在だ。
・スピードも兼備して、裏に抜け出すプレーも多い。広範囲に展開する動きや、ポストワークでも積極的に攻撃の組み立てに関与する。
・昨季に頭蓋骨骨折の大ケガから復帰も、いまだに以前のパフォーマンスを取り戻せずにいる。
イルビング・ロサーノ (FW/ナポリ)
・”サイドの崩し屋”
・俊敏なドリブルを武器に相手DF陣を切り崩す快速ウインガー。スピードに乗ってもブレないボールコントロールでマークをかわし、パンチの効いたシュートを放つ。ロシア大会ではドイツから決勝点となるゴールを決めた。
・主にサイド攻撃を担当し、右サイドでも左サイドでも変わらずにチャンスを演出できる。ゴール前ではストライカーのように振舞い、自分で点を取り、味方にも点を取らせることができる。
エドソン・アルバレス (MF/アヤックス)
・”メキシコの心臓”
・昨シーズンに、現マンチェスター・Uで監督を務めるテン・ハーグの下、才能が開花。高い危機察知能力と球際の強さで、オランダリーグ屈指のアンカーに君臨する。
・危険なスペースを感知する才能と身体能力を活かして、中盤でフタをする役割を担う。ボールを奪われたと判断すれば素早く動き出し、カウンターの阻止を狙う。鋭いタックルやスライディングで相手を潰す技術は、世界トップクラスだ。
・狭いエリアでのドリブル、トラップからの反転などを居残り練習で身に付けて、課題だったビルドアップも大幅に改善された。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
13 | ギジェルモ・オチョア | 37 | クラブ・アメリカ | 129試合 | ・背番号13は自身の誕生日に由来 |
1 | アルフレッド・タラベラ | 40 | フアレス | 39試合 | ・至近距離からのシュートとハイボール処理に定評 |
12 | ロドルフォ・コタ | 35 | レオン | 8試合 | ・29歳で代表デビューの遅咲き ・俊敏性に優れ、ハイボールに強い |
15 | エクトル・モレノ | 34 | モンテレイ | 124試合(5) | ・クリーンなタックルと正確なフィードで攻守に存在感を示す |
23 | ヘスス・ガジャルド | 28 | モンテレイ | 75試合 | ・アグレッシブな突破と鋭いクロスを武器に左サイドからチャンスを演出 |
2 | ネストル・アラウホ | 31 | クラブ・アメリカ | 60試合(3) | ・対人守備に強い屈強なCB |
26 | ケビン・アルバレス | 23 | パチューカ | 7試合 | ・タッチ数の多い巧みなドリブルが魅力 ・落雷で亡くした父との約束を果たすためにプロに |
3 | セサル・モンテス | 25 | モンテレイ | 26試合(1) | ・空中戦、地上戦ともに圧倒的な強さを誇る ・東京オリンピックではキャプテンとして銅メダルに貢献 |
19 | ホルへ・サンチェス | 24 | アヤックス | 25試合(1) | ・コロナとの好連携から敵陣深くに切り込む |
6 | ヘラルド・アルテアガ | 24 | ヘンク | 16試合 | ・総合力の高い左SB ・ドリブルで左サイドを突破すれば、守備も献身的 |
5 | ヨアン・バスケス | 24 | クレモネーゼ | 6試合 | ・左足のフィードが正確で、スピードもある |
18 | アンドレス・グアルダード | 36 | ベティス | 175試合(28) | ・メキシコ代表の最多出場記録が目前に迫るベテラン ・経験に裏打ちされたインテリジェンスで、いぶし銀の輝きを放つ |
16 | エクトル・エレーラ | 32 | ヒューストン・ダイナモ | 110試合(10) | ・シメオネ仕込みの献身性で動き回り、ロングパスで攻撃のリズムを作る |
4 | エドソン・アルバレス | 25 | アヤックス | 58試合(3) | ・前回のW杯には20歳の若さで全試合出場 |
14 | エリック・グティエレス | 27 | PSV | 33試合(1) | ・長短のパスで試合をコントロールし、”グアルダードの後継者”と評される |
8 | カルロス・ロドリゲス | 25 | クルス・アスル | 32試合 | ・シャビやイニエスタがお気に入りで、丁寧なボールタッチからの正確なパスが魅力 |
21 | ウリエル・アントゥナ | 25 | クルス・アスル | 32試合(9) | ・スプリントが売りの快速ウインガー |
25 | ロベルト・アルバラード | 24 | チーバス・グアダラハラ | 29試合(4) | ・技巧派のチャンスメーカー |
17 | オルべリン・ビネダ | 26 | AEKアテネ | 48試合(6) | ・パスセンスとゴールパフォーマンスは必見 |
7 | ルイス・ロモ | 27 | モンテレイ | 24試合(1) | ・フィジカルの割に動きは軽快で、ボールタッチは繊細 |
24 | ルイス・チャベス | 26 | パチューカ | 7試合 | ・広範囲にパスを散らして攻撃にアクセントを加え、高い戦術理解力も備えたボックス・トゥー・ボックス型 ・守備面での貢献度も大きい |
9 | ラウール・ヒメネス | 31 | ウォルバーハンプトン | 97試合(30) | ・PK成功率が高い |
22 | イルビング・ロサーノ | 27 | ナポリ | 58試合(15) | ・グティエレスとはパチューカの下部組織で、11歳の時からチームメイト |
20 | エンリ・マルティン | 30 | クラブ・アメリカ | 23試合(6) | ・パンチ力のある右足とヘディングを武器に、エリア内で強さを発揮する |
11 | ロヘリオ・フネス・モリ | 31 | モンテレイ | 15試合(5) | ・視野を広さを活かして、パスの受け手と出しての両方で活躍できる ・アルゼンチン出身 |
10 | アレクシス・ベガ | 24 | チーバス・グアダラハラ | 19試合(3) | ・パワフルなドリブルと精度の高いFKが武器 |
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