カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、4年の間に2度の監督交代を行い、一時は2次予選敗退の危機にも陥ったものの、クロアチア人監督がなんとか立て直し、アジア一番乗りでカタールW杯出場を決めた、アジア代表のグループB・「イラン代表」。
基本情報
出場回数 | 6回目(3大会連続) |
最高成績 | グループステージ敗退 |
FIFA ランキング | 23位 |
首都 | テヘラン |
人口 | 8399万人 |
監督 | カルロス・ケイロス |
愛称 | チーム・メッリ (国民のチーム) |
<直近6試合の成績>
2/1 | W杯予選 | UAE | 〇 | 1-0 | H |
3/24 | W杯予選 | 韓国 | ● | 2-0 | A |
3/29 | W杯予選 | レバノン | 〇 | 2-0 | H |
6/13 | 親善試合 | アルジェリア | ● | 1-2 | H |
9/24 | 親善試合 | ウルグアイ | 〇 | 1-0 | H |
9/27 | 親善試合 | セネガル | △ | 1-1 | A |
・今大会で6回目の出場となるアジア屈指の強豪”イラン”。グループステージ突破の実績は無いものの、前回のロシアW杯ではモロッコに勝利、スペインには好ゲームを演じるも0-1の敗退、ポルトガルには1-1の引き分けと大健闘の末での敗退だった。
・4年の間にアズムンとタレミが大きく成長するなど、強豪国にも競り合えるほどのチーム力を培ってきた。それと同時に2度の監督交代が行われ、一時は2次予選敗退の危機にも陥ったが、イラン国内リーグで長い指導歴のあるクロアチア人のスコチッチ監督がチームを再建し、最終的には開催国のカタールを除いてアジア勢一番乗りでカタールW杯出場を決めた。
・積極的にボール奪取を狙い縦に進撃するスタイルをベースに、劣勢の局面でも切り替えて守りに徹することもできる。中東開催というアドバンテージを活かし、悲願のグループステージ突破を目指す。
監督
名前 | ドラガン・スコチッチ |
生年月日 | 1968.9.3(54) |
国籍 | クロアチア |
就任 | 2020.2月~2022.9月 |
・知名度こそ低いが、イラン国内での指導経験を買われて監督に就任。
・2次予選敗退の危機にあるチームを再建し、最終予選をアジア勢で最速突破に導いた。
・組織的守備を形成し、攻撃はタレント力に任せる戦術。
・2022年9月に解任される。
(名前) | カルロス・ケイロス |
(生年月日) | 1953.3.1(69) |
(国籍) | ポルトガル |
(就任日) | 2022.9月 |
・2022.9月に2度目のイラン代表監督に就任。契約期間はW杯終了までの4カ月間。
・2011年から2019年にかけてイラン代表の指揮官として長期政権を築き、2014年ブラジルW杯、2018年ロシアW杯出場に導いていた。
・前回の政権時には対アジア39戦無敗という記録を残すなど、イランを率いての実績が豊富。直近ではコロンビア代表とエジプト代表を指導していたが、再びイランに帰還して大舞台に臨むこととなった。
基本フォーメーション・戦術
頑強な守備と一瞬のスキを突いた速攻 地の利を生かし悲願のベスト16を狙う
<基本フォーメーション>

・欧州で異彩を放つアズムンやタレミを擁する攻撃陣の質はアジア屈指。史上初の16強入りに向け、その前線が頼みの綱になる。
・6月のアルジェリア戦はスコア以上の完敗だっただけに、国民から大物監督の就任を求められ、9月にドラガン・スコチッチ監督を解任し、カルロス・ケイロスを招聘。
・同組のイングランド、アメリカ、ウェールズが9月の親善試合で苦戦する中で、イラン代表は強豪ウルグアイとの親善試合に1-0で勝利。サポーターは大いに興奮し、ワールドカップでグループBを抜け出せるのではとの期待の声が挙がっている
<攻撃時>

・縦の意識が強い攻撃が特徴。SBが高い位置を取り、ウイングは外に張らないことが多く、3トップに縦パスを付けて、素早い仕掛けでゴールを狙うのが理想のパターン。
・相手に対策される場合は、MFのヌロラヒやゴットスを介在させて、サイドに貼るタレミやジャハンバフシュに預けてSBとのコンビネーションで崩しにかかる。特にゴットスからタレミへのサイドチェンジが多用され、そこから中央突破を仕掛けるシーンはアジア予選で多く見受けられた。
・世界の強豪国が相手となれば、より大胆に相手の背後を狙ったパスを繰り出すことも考えられる。
・ボール奪取の直後は、高い位置でも、GKからでも素早く前線にボールを供給してロングカウンターを狙うのがファーストチョイス。その時は全体も高い位置を取り、SBや中盤の選手でも攻撃に参加するのがイランのポイント。
<守備時>

・ボールをロストした直後は、即時奪回をベースに1人の選手がマンツーマンでボールホルダーにプレスを仕掛けてミスを誘う。サイドに展開された場合は、【4-3-3】から反対サイドのウイングの選手が2列目に加わり【4-4-2】のブロックを形成する。
・相手のビルドアップにプレスを仕掛ける時は、【4-3-3】のままFW3人、MF3人で段階的にプレスをかけて、4バックがライン裏とスペースをカバーする。
・攻め込まれる場合は、割り切って左右のウイングのどちらかが2列目に加わり【4-1-4-1】か【4-4-2】のブロックを作る。ゾーン守備をベースにしながらも、ボールホルダーには球際に強さを活かしたマンツーマンの対応で粘り強く守り抜く。
注目選手(3人)
メフディ・タレミ (FW/ポルト)
・”アラブの点取り屋”
・ポルトガルで得点を量産する気鋭のストライカー。屈強なフィジカルを活かして、無理な姿勢からでもシュートを枠内に捉える。多くのパターンでゴールを奪えるだけでなく、中盤やサイドからでもチャンスメイクできる賢さも持ち合わせる。
・昨季は自己最高のリーグ戦20得点を挙げ、2年連続で2桁得点2桁アシストを記録。
・前線からのチェイスも欠かさないなど、守備をサボらない献身性も高く評価されている部分。
サルダン・アズムン (FW/レバークーゼン)
・”イランのメッシ”
・タレントが揃うチームの中で、絶対的なエースとして君臨。素早い動き出しで最終ラインの背後に抜け出し、クロスやグラウンダーのパスにワンタッチで合わせるプレーが得意。身体能力も抜群で、アクロバティックなシュートや競り合いながらのヘッドでもゴールを奪う。
・ボールを精力的に追いかける、献身的な守備も好印象。
サマン・ゴットス (MF/ブレントフォード)
・”プレミアで奮闘する攻撃的MF”
・カルロス・ケイロス監督が、イランにルーツを持つ選手を探しに世界中を飛び回って見つけ出した逸材。スウェーデン出身で、現在はチェルシーで監督を務めるグラハム・ポッターの下で成長を遂げた。
・セカンドトップ、ストライカー、ウインガーとしてプレーできる万能型。巧みなボールコントロールと推進力のあるドリブルが魅力。冷静にパンチ力のあるミドルシュートを打ち込むことも。
・身体能力が高く、21/22シーズンの鮮やかに叩き込んだバーンリー戦のボレーは語り草。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
1 | アリレザ・ベイランバンド | 30 | ペルセポリス | 50試合 | ・ロシアW杯では守護神も、現時点でアドべザテにリードを許す |
22 | アミル・アベドザデ | 29 | ポンフェラディーナ | 10試合 | ・ビックセーブの鬼 |
12 | パヤム・二アズマンド | 27 | ポルティモネンセ | 1試合 | ・ロングキックで攻撃に勢いを与える |
24 | ホセイン・ホセイニ | 30 | エステグラル | 5試合 | ・3年ぶりに代表復帰を果たしたベテランGK ・ハイボール対応や1対1に優れる |
3 | エフサン・ハジサフィ | 32 | AEKアテネ | 119試合(7) | ・欧州でのプレー経験もある経験豊富な左SB |
8 | モルテザ・プラリガンジ | 30 | ペルセポリス | 44試合(3) | ・最終ラインの統率役 |
13 | ホセイン・カナーニ | 28 | アル・アハリ・ドーハ | 32試合(2) | ・対人戦で強さを発揮 |
2 | サデグ・モハラミ | 26 | ディナモ・ザグレブ | 19試合 | ・右サイドを駆け上がり、高速クロスでチャンスを演出 |
19 | マジド・ホセイン | 26 | カイセリスポル | 17試合 | ・ロシアW杯では獅子奮迅の活躍 |
5 | ミラド・モハマディ | 29 | AEKアテネ | 45試合(1) | ・観察眼が高く、サイドからゲームメイク |
4 | ショジャ・ハリルザデ | 33 | アル・アハリ・ドーハ | 22試合(1) | ・セットプレーで得点源に |
23 | ラミン・レザイアン | 32 | セパハン | 45試合(2) | ・攻撃的SBだが、バランスをとることに優れる ・3年ぶりに代表招集された |
25 | アボルファズル・ジャラリ | 24 | エステグラル | 2試合 | ・高い位置まで攻め上がり、クロスを供給する左SB |
15 | ルズベー・チェシミ | 29 | エステグラル | 19試合(1) | ・長身の守備的MF |
7 | アリレザ・ジャハンバフシュ | 29 | フェイエノールト | 62試合(13) | ・プレミアで3シーズン戦ったのちにオランダの名門に移籍 |
6 | サイード・エザトラヒ | 26 | ベイレ | 45試合(1) | ・アトレティコのカンテラ育ち |
14 | サマン・ゴッドス | 29 | ブレントフォード | 31試合(2) | ・英語、スウェーデン語、ペルシャ語を話す |
21 | アハマド・ヌロラヒ | 29 | ジャバーブ・アル・アハリ | 24試合(3) | ・チームを引き締めるオーガナイザー |
11 | バヒド・アミリ | 34 | ペルセポリス | 66試合(2) | ・左サイドからの仕掛けが持ち味 |
16 | メフディ・トラビ | 28 | ペルセポリス | 34試合(6) | ・ドリブルによる打開力と、崩しの起点となる能力を兼備 |
17 | アリ・ゴリザデ | 26 | シャルルロワ | 24試合(6) | ・左利きのテクニシャン |
18 | アリ・カリミ | 28 | カイセリスポル | 13試合 | ・大胆な攻め上がりに、強度の高い守備対応など攻守両面でハードワークを欠かさない |
10 | カリム・アンサリファルド | 32 | オモニア・ニコシア | 92試合(29) | ・ターゲットマンとして頼りになる存在 |
20 | サルダル・アズムン | 27 | レバークーゼン | 63試合(40) | ・長くロシアリーグでプレーしていた |
9 | メフディ・タレミ | 30 | ポルト | 58試合(27) | ・アズムン、ジャハンバフシュとの共存がカギ |
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