カタールW杯に出場する全32チームを紹介。
今回は、理不尽なまでに過酷なW杯・アフリカ予選を勝ち抜き、タレントが揃い家族のような一体感でカタールW杯での躍進を目指す、アフリカ代表のグループG・「カメルーン代表」。
基本情報
出場回数 | 8回目 |
最高成績 | べスト8 |
FIFA ランキング | 38位 |
首都 | ヤウンデ |
人口 | 2654万人 |
監督 | リゴベル・ソング |
愛称 | レ・リヨン・アンドンプタブル (不屈のライオン) |
<直近6試合での成績>
3/30 | W杯プレーオフ | アルジェリア | 〇 | 1-2 | A |
6/9 | AFCON | ブルンジ | 〇 | 0-1 | A |
9/23 | 親善試合 | ウズベキスタン | ● | 0-2 | H |
9/27 | 親善試合 | 韓国 | ● | 1-0 | A |
11/9 | 親善試合 | ジャマイカ | △ | 1-1 | H |
11/18 | 親善試合 | パナマ | △ | 1-1 | N |
・アフリカ予選では、2次予選でアフリカ最強と注目されたコートジボワールに勝り、最終予選はマフレズ(マンチェスター・C)を擁するアルジェリアを破るなど、不条理なまでに過酷な予選を勝ち上がっての出場権獲得だった。
・代表を率いるソング監督は、リバプールなど欧州を渡り歩くとともにA代表137キャップを誇るレジェンドで、カリスマ性は抜群。チームには、シュポ・モティングを初めタレントが揃うが、誰一人としてエゴを発することがなく、ファミリーのような一体感を誇る。
・守護神のA・オナナを軸とする守備陣は非常に堅守で、ブラジル、セルビアといった高い攻撃力を誇るチーム相手でも大量失点することはないだろう。チャンスメイクや中盤にインテンシティーをもたらすザンボ・アンギサ、トコ・エカンビも注目に値するが、ベスト8に進出した90年大会以来の決勝トーナメント進出には、エースであるシュポ・モティングの活躍にかかっている。
監督
名前 | リゴベル・ソング |
生年月日 | 1976.7.1(46) |
国籍 | カメルーン |
就任 | 2022.2月 |
・”カメルーンのレジェンド”
・歴代のカメルーン代表選手の中で最も出場回数の多い137キャップの記録を保持し、計4回のワールドカップに出場。
・A代表のアシスタントコーチから指導経験を重ね、今年2月に代表監督に就任。
基本フォーメーション・戦術
激しいマンツーマンで堅守を構築 ”不屈のライオン”が中東の地で牙を向く
<基本フォーメーション>

・W杯予選と変わらない顔触れで挑んだ6月の試合は、チームの骨格が固まりつつある一方で新戦力の突き上げないのも事実だった。格下のブルンジに苦しめられた試合後のロッカールームでは、レジェンドで現連盟会長のエトーから叱咤激励が飛んだ。
・下馬評こそ高くないが、守護神A・オナナが統率する堅い守備を武器にサプライズを狙う。
<攻撃時>

・ポゼッションよりもダイレクトなプレーが多く、アタッカーがスピードやパワーで勝負する。ボールを奪えば中盤でも最終ラインからでも、ラストパスになるような前方へのパスを前線やサイドに展開する。
・ビルドアップでも、時間を掛けずにシンプルなパス回しで早めに起点を作り、高い位置に上がったSBやボランチのグエが前線のシュポ・モティング、アブバカルに目掛けて強引にロングボールを供給する。
・相手に跳ね返されたとしても二次攻撃に厚みがあり、中盤のザンボ・アンギサがセカンドボールを回収すれば、2トップかトコ・エカンビを使ってフィニッシュに持ち込む。
・A・オナナからのロングフィードも武器で、シュポ・モティングを一発で裏に走らせてゴールを狙う形は強豪国にも十分に脅威と成りえる。
<守備時>

・ボールを奪われれば、1人がボールホルダーにタイトに寄せることで全体がリトリートする時間を稼ぎ、素早く守備ブロックを整える。
・3ラインをベースに、適度な距離感を保ちながら球際に厳しいマンツーマンで果敢に奪いに行く。どのエリアでもボールを奪いに行く意識が強いのがカメルーンのポイント。サイドハーフとSBは確実にボールに寄せに行く。
・コンパクトな陣形を保つためオープンスペースが生じるが、状況に応じて2トップの一角が2列目に降りてきてオープンスペースを埋める。サイドに展開されれば、前後から挟み込んでボール奪取を狙い、MFが最終ラインに加わり5バックを形成する。
・守護神のA・オナナは必要に前に出ることはせずに、ゴール前でのシュートセーブに専念する傾向が強く、ライン裏を抜け出されても冷静にゴール前にそびえ立つ。
・CBのカステレトとヌガドゥ・ヌガジュイのコンビはスピードがあり、最終ラインを破られたとしてもフィニッシュに戸惑れば、素早く追いつき相手を潰してしまう。
注目選手(4人)
マキシム・シュポ・モティング (FW/バイエルン)
・”チームの命運を握るエース”
・長身とフィジカルを活かしたボールキープやヘッドが光る基準点型CF。クラブではレバンドフスキのバックアップだったが、今シーズンはマネやニャブリにない高さを備える切り札として活躍。両サイドで相手の脅威となり、味方を活かすためのスペース作りもうまい。
・ブンデスリーガでの経験が豊富で、マインツ時代には2度の2桁ゴールを記録。
・ビッチ外ではチームをの雰囲気を和らげるムードメーカー。
アンドレ・フランク・ザンボ・アンギサ (MF/ナポリ)
・”中盤の支配者”
・昨シーズン、ナポリでサプライズとも言える活躍を見せた大型MF。強靭なフィジカルと流動的な守備対応で、中盤の主導権を掌握する。1対1では圧倒的な強さを見せつけ、ボールを刈り取る。
・高い攻撃性能も魅力。敵に囲まれても簡単にボールを失わないキープ力に加えて、的確なパスワークで守備から攻撃への切り替え役も担う。推進力のあるドリブルで敵陣をぶち抜き、自ら積極的にゴールに迫ることも。
アンドレ・オナナ (GK/インテル)
・”英雄的存在の守護神”
・武器はバルセロナとアヤックスで鍛え上げられた足下の技術の高さ。両足を自在に操り、ショートパスとロングパスを使い分けて最後尾からビルドアップに貢献する。
・超人的な反射神経を駆使して安定したセービングを見せる。さらに、その抜群の身体能力でスイーパーとしての役割も務めることができ、ゴール前の広い範囲をカバーする。積極的な飛び出しと空中戦の強さで、セットプレーでも存在感を発揮する。
ブライアン・ムベウモ (FW/ブレントフォード)
・”左利きの快速ウインガー”
・キレ味鋭いドリブルで相手を置き去りにし、カットインからシュートに持ち込むプレーを得意とする。守備も献身的にこなし、モダン的なアタッカーと言える。
・所属クラブで好連携を築く相棒のトニーとのコンビプレーはチームの生命線。昨季は7アシストをマークするも、プレミアリーグで最も多くシュートをポストに当てるなど決定機を逃す場面が目立った。
選手一覧
No. | 名前 | 年齢 | 所属チーム | 代表成績(得点) | |
23 | アンドレ・オナナ | 26 | インテル | 30試合 | ・抜群の身体能力に加えて、リーダーシップも備える |
16 | デビス・エバシ | 29 | アブハクラブ | 5試合 | ・ベンチからチームを鼓舞 ・フランス出身 |
1 | サイモン・エンギャパンドゥアンブ | 19 | マルセイユ | 0 | ・カメルーン生まれでユースチーム時代から注目を集めていた、将来有望のGK ・フランス移住後にU-19フランス代表に招集され物議に |
19 | コリン・ファイ | 30 | アル・タイ | 49試合 | ・アグレッシブな攻め上がりが魅力 |
21 | ジャン・シャルル・カステレト | 27 | ナント | 11試合 | ・戦術眼が卓越し、あらゆる局面でのポジショニングが光る |
25 | ヌフ・トロ | 25 | シアトル・サウンダース | 15試合 | ・抜群のバランス感覚と推進力でサイドを駆け上がる |
17 | オリビエ・ムバイゾ | 25 | フィラデルフィア・ユニオン | 11試合 | ・左右のSBをこなし、精力的にスプリントを繰り返す |
4 | クリストファー・ウー | 21 | スタッドレンヌ | 1試合 | ・フランス出身のヤングプレイヤー |
24 | エンゾ・エボス | 23 | ウディネーゼ | 0 | ・堅守が売りの大型CB |
2 | ジェローム・エンゴム | 24 | Colombe Sport | 2試合 | ・ジャマイカとの親善試合で代表デビューを飾った数時間後に登録メンバーに指名された24歳 |
3 | ニコラ・エンクル | 32 | アリス・テッサロニキ | 75試合(2) | ・経験に裏打ちされた動作と危機察知能力で失点を防ぐベテランCB |
8 | アンドレ・フランク・ザンボ・アンギサ | 27 | ナポリ | 42試合(5) | ・実績はチームでトップクラス |
14 | サミュエル・グエ | 24 | メレヘン | 21試合 | ・守備範囲の広さとボール奪取、飛び出しが魅力 |
18 | マルタン・オングラ | 24 | エラス・ヴェローナ | 17試合 | ・スペインで身に付けた足元のスキルが魅力の機動性能の高い守備的MF |
5 | ガエル・オンドゥア | 27 | ハノーファー | 3試合 | ・巧みなボールさばきと左足の鋭いパスで攻撃にリズムをもたらす |
15 | ピエール・クンデ | 27 | オリンピアコス | 29試合(1) | ・攻守のトランジションで優位に立つ |
22 | オリビエ・ヌチャム | 26 | スウォンジー | 0 | ・マンチェスター・Cのアカデミー育ち |
26 | スアイブ・マル | 22 | コトンスポート | 0 | ・両サイドで機能する本能的スコアラー ・2022年の国内リーグ最優秀選手 |
10 | バンサン・アブバカル | 30 | アル・ナスル | 87試合(33) | ・シュポ・モティングの相棒 |
13 | マキシム・シュポ・モティング | 33 | バイエルン | 68試合(18) | ・契約を全うするタイプで今までに発生した移籍金はゼロ |
12 | カルル・トコ・エカンビ | 30 | リヨン | 50試合(11) | ・スピードを活かした縦突破でサイドを切り抜き、ボックス内では鋭い嗅覚でゴールに迫る ・コートジボワール戦、アルジェリア戦と大事な試合で重要なゴールを決めた |
6 | ムミ・ヌガマル | 28 | ディナモ・モスクワ | 40試合(4) | ・鋭い仕掛けでディフェンスを突破する |
7 | ジョルジュ・ケビン・ヌクドゥ | 27 | ベシクタシュ | 1試合 | ・俊敏なサイドアタッカー |
20 | ブライアン・ムベウモ | 23 | ブレントフォード | 0 | ・フランス出身だが、カメルーンのレジェンドであるエトーに直接説得され、ルーツのあるカメルーン代表を選択 |
9 | ジャン・ピエール・エンサメ | 29 | ヤング・ボーイズ | 4試合 | ・スイスリーグで2季連続得点王の実績のある点取り屋 ・19/20シーズンには46試合で41得点を記録 ・高いシュートスキルにパワーを持ち合わせる |
11 | クリスチャン・バソゴグ | 27 | 上海申花 | 40試合(6) | ・右サイドからカットインのシュートが得意のパターン ・アメリカ、デンマーク、中国でプレーするなど海外での経験も豊富 |
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